次世代オフィスにおけるコラボレーションとITシステムの在り方次世代のITオフィス環境を考える(2/2 ページ)

» 2005年10月14日 08時00分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]
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グループウェアによる協業のメリット

 社内での情報共有をスムーズにするために、グループウェアと呼ばれるソフトウェアを利用するのも有効な手段だ。例えば、上司や同僚のスケジュールがどこからでもオンラインで手軽に参照できるようになる。また、掲示板のような情報を交換したり、蓄積しておく場も提供できるようになる。さらに、会議室などの社内リソースの管理も簡単にできる。

 グループウェアは先述のワークフローの管理にも活用できる。受発注業務に関する伝票の流れを管理するだけでなく、経費清算などの経理関連や、上司の判断を仰がなければならない稟議なども、ルールに則った方法でしか処理できないようにすることができる。

 ほかにも、イントラネットなどにプロジェクトや部署単位でポータルサイトを立ち上げる方法も有効だろう。ポータルを利用すると、メールやファイル共有と違い、最新の情報が分かりやすくなる。メールでは共有されるべき情報を手元にコピーして持つことになったり、かといってファイル共有では最新のファイルがどれか分からなくなるなどの弊害が発生しやすい。ポータルサイトを利用すると情報を一元化しやすくなるので、取り扱う情報の錯綜や混乱を抑えることができる。マイクロソフトのOfficeが備えているバージョン管理機能などと併用することで、さらに効果的な運用も可能だ。

 グループウェアとポータルを一体化して運用することも可能であるため、利用の仕方によってはその効果を2倍、3倍に高めることも期待できそうだ。例えば、インスタントメッセージングソフトウェアとグループウェアを連携させることで、社内アドレス帳と在席情報(プレゼンス)を連動させ、内線番号が分かると同時に在席中かどうかもひと目で分かるようにできる。

メンバーの理解を得るのが最重要課題

 もちろん、いくらルールを厳密に定義しシステムに組み込んでも、使う側のメンバー全体がきちんと利用してくれなければ意味がない。トラブル報告の仕組みをポータルサイト内に用意したとしても、記入してくれないのでは情報共有は不可能だ。厳密に守らせなければならないルールがあるのであれば、そのルールを守りやすいシステム作りが必要なことは言うまでもない。

 例えば、デジタルデバイドが社員の間で深刻な場合、使い方の習得が簡単になるようにするとか、キーボード入力に問題がある社員が多く、パソコンによる入力が促進されない職場であれば、マウスのクリックだけで入力できるようにする、といった対応も必要になってくるだろう。

 トップダウンにより上司や取締役の一言でシステム導入が決定され、現場での使い勝手を無視したシステム作りをしているのをよく見かける。これでは、ルールを徹底するどころか、かえって作業効率を下げてしまう。

 グループウェアにせよポータルにせよ、なんらかのITシステムを導入して作業効率をアップさせようとするのであれば、まず、ユーザーである社員やメンバーの利便性を考慮したい。従来のやり方よりもシステムを使用した方が仕事がやりやすいことを各個人が認識すれば、黙っていてもシステムをきちんと使ってくれるようになるはずだ。

 そして、ITシステムが社内のルールやポリシーを厳密に考慮して構築されているのであれば、自然とルールを守った運用に変わっていくはずである。もちろん、社員やメンバー各個人に、ルールの遵守やシステム利用の利点などを、啓蒙し浸透させていくことが最重要であることは変わらない。

 今後は、社内業務システムやグループウェア、ポータルサイトなどが一体化した、より使いやすいシステムを構築できるようになるだろう。もちろん、通信手段やハードウェアの進歩により、本社支社を問わず、どこにいてもシステムが利用でき、社外にいても携帯電話などから社内の共有情報にアクセスできる、そういうシステム作りが現実になってきている。

 そこでようやく、ITによる良質のコラボレーションが進んでいくことになるだろう。

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