持ち主の「歩き方」で本人かどうか検知する盗難防止技術が発表された。認識率は90%超で、今後携帯電話やノートPCなどへの採用が見込まれる。(IDG)
数年前から窃盗対象として狙われやすくなっている高価な携帯電話やノートPC――しかし窃盗者は今後、所有者の「歩き方」の真似を学習しなければならないかもしれない。
フィンランドの科学者が携帯デバイスの窃盗を防止するための新技術を開発した。携帯デバイス所有者の肉体動作の変化を検知し、その後デバイスをロックして認証されないユーザーによる使用を防止する。フィンランドのVTT Technical Research Centerが10月13日明らかにした。
この技術は、携帯デバイスに搭載されたセンサーを利用してユーザーの歩き方の特徴を計測、そのデータをデバイスのメモリに保管する。開発者たちによれば、このプロセスは3D加速度測定法に基づいている。
センサーはユーザーの歩き方を継続的に計測し、既に保管されている測定値と比較する。測定値が異なった場合、当該デバイスは自動的にフリーズし、パスワードを入力しない限り再起動しなくなる。
「このバイオメトリック手法の主なメリットの1つは、気付かれることなく行動を検知し、またユーザーに特別な操作を強いることがない点だ」と、研究ディレクターのヘイッキ・アリスト氏はWebキャストされた発表会見で説明した。
パスワードとそのほかのバイオメトリクス方式によってIDデータが比較されると、IDはユーザーの操作を必要とすることなくバックグラウンドプロセスとして認証されるという。
この技術を36人(男性19人、女性17人)の被験者に2カ月間テストした結果、認識率は90%超だった、とフィンランドの研究者たちは報告している。
もっともアリスト氏によれば、幾つかの課題も残された。その1つが、履く靴の違いなどによってユーザーの歩き方が異なる場合はそれを学習しなければならない。このほか、まだ限定的にしか提供されていないセンサーを使うため、コスト面でユーザーに負担を強いる問題もあるという。
だがアリスト氏は、これらの問題にかかわらず、この特許技術が今後2年間で新型の携帯電話、PDA、ノートPC製品に採用されていくだろうと期待している。
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