「スケジュールはもはや不要」、ディスクバックアップを強化したBackupExec 10d

「バックアップが終わらない」「リカバリまで時間がかかる」――シマンテックはディスクベースのバックアップ機能を強化することで、これら課題の解決を目指した「BackupExec」新版の販売を開始した。

» 2005年10月24日 20時08分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 シマンテックは10月24日、Windowsサーバ向けのバックアップ/リカバリソフトの最新版「Symantec BackupExec 10d」日本語版の発売を開始した。

 「スケジュールバックアップはもはや不要になった」――シマンテックが9月28日に発表したWindows向けバックアップ/リカバリソフトの新版は、「Backup Exec Contiuous Protection Server」(CPS)を同梱し、ディスクベースバックアップ環境の実現を押し進めた。ディスクの特性をバックアップに生かすことで、データ保護に関わる問題の解決を図る。バージョン名に用いられた「d」はディスクを意味し、この点を大いに強調している。

 Backup Exec 10dの最大の特徴は、新たに同梱されたCPS。CPSはWindowsで構築されたファイルサーバのターゲットにしたバックアップソフトといえる。バックアップといえば、これまでスケジューリングにより定期的に行われるのが通常だったが、CPSではファイルサーバに導入するエージェントがデータの変更や追加を捉えて、その都度自動的にCPSへ複製する仕組みを備えた。

 「差分・増分といった概念がないといえる。変更データを変更がある度に行う。データは即時かつ継続的に保護される。バックアップウィンドウをなくすことを目指した」と雨宮吉秀氏(マーケティング本部テクノロジーSE統括部DMGグループ部長代理)は言う。

 エージェントとCPS間は、差分ブロックレベルのデータ転送を行うため高帯域を消費しない。そのため、遠隔地のオフィスのファイルサーバを中央データセンターへバックアップさせるシナリオにも向くという。CPSがバックアップしたデータをBackupExecのサーバがテープへバックアップさせれば、ディスクとテープ双方の特長を生かしたD2D2Tによるデータ保護が可能になる。

BackupExec Retrieve エンドユーザーが直接ファイル復元できるBackupExec Retrieveインタフェース。同社は「Googleライク」なインタフェースと説明している

 「Googleライク」なエンドユーザー向けWebインタフェースも備えたのも特徴だ。このインタフェースを通じてエンドユーザーが直接、リカバリしたいファイルを検索して、ファイルを復元できる。IT部門が介在することなく、エンドユーザーが直接ファイルを取り出せるため、管理コストの削減にもつながるという。

 また、10月7日にマイクロソフトがリリースした「Micorosoft Data Protection Manager」(DPM)向けBackup Execのエージェントも提供する。マイクロソフトのDPMはCPMの競合に当たると考えられるが、D2D2Tバックアップを行うためには、BackupExecのような専用のバックアップソフトが必要となる。シマンテックは、DPM環境に対してもエージェントを提供することで、BackupExecによるD2D2Tバックアップを可能にしたい考えだ。

 BackupExec 10dの価格は、13万8600円。CPSは同製品に無償添付されているが、保護するファイルサーバ1台ごとにエージェントが必要となる。このContiuous Protection Agentの価格は5万1450円となっている。

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