エンドユーザーのパソコンに潜むこれだけの落とし穴次世代企業が目指すべきセキュアなクライアント環境の実現(2/3 ページ)

» 2005年12月01日 11時00分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]

 安全かつ安心して自動車に乗るためには、シートベルトだけでなくABS(アンチブレーキロックシステム)やエアバッグを装備した車に乗り、自賠責保険だけでなく任意保険にも加入するのが常識であろう。同じように、クライアントのセキュリティ対策を考慮する際にも、何重もの対策を講じる必要があるのは言うまでもない。つまり、ウイルス対策ソフトだけでは十分とは言いがたいのだ。

 ウイルスは一般に受動的な動作をする。つまり、メールを開いたり、文書ファイルを開くなどユーザー側の動作をきっかけとして、感染動作を行うようになっている。この手のタイプであれば、ウイルス対策ソフトは有効な手段である。

 しかし、ワームとなると話が違う。ワームは能動的な動作を行う。OSなどのセキュリティホールを突き、ユーザーの動作を介在せずに感染する。そのため、ファイルスキャンを基本動作とするウイルス対策ソフトでは、ワームの感染を防ぎ切ることはできない。

 もちろん、多くのウイルス対策ソフトには、パーソナルファイアウォール機能が備わっている。これはこうしたワームの感染を防ぐ目的もあってのことなのだが、だからといって、ウイルス対策ソフトとパーソナルファイアウォールがあったとしても、十分ではない。

 パーソナルファイアウォールの設定には、それなりの知識が必要だ。社内ネットワークに接続する場合には、インターネットに直接接続する場合に比べて、許可すべきトラフィックが多くなる。そのように設定しなければ、ファイル共有やプリンタ共有ができなくなったり、業務アプリケーションが動作しなくなったりすることになるからだ。

 一般的に、社内ネットワークへ接続するときの設定は、ネットワーク管理者やヘルプデスクの助けを借りることが多い。これは、各企業においてセキュリティポリシーや使用しているアプリケーションが異なるため、独自の設定を行わなければならないためだ。

 ところが、外出先でインターネットに接続する際の設定は、個々のユーザー任せになっていることも多いし、勝手にユーザーが設定してしまう場合もある。このとき、適切な設定がなされずに、社内ネットワークに接続する設定のままインターネットに接続してしまうと、ワームに感染する危険性が極めて高くなる。

 さらに、ウイルス対策ソフトは、パターンファイルの更新という問題が付きまとう。ウイルス対策ソフトは、ウイルスのパターンを判別して排除する仕組みになっている。そのため、すべてのウイルスのパターンを把握している必要があり、絶えず増え続ける新種のウイルスに対応するために、頻繁にそのパターンファイルを更新し続ける必要がある。

 ところが、このパターンファイルの更新が落とし穴になることもあるのだ。例えばゴールデンウィークや夏季休暇など、長期の休みが終わった後に、社内でウイルスが大量発生する傾向がある。これは、ウイルスパターンファイルの更新が滞ってしまい、新種のウイルスに対応できなかった結果といえる。

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