2006年はどうなる? 2005年のオープンソース動向は激動だった(1/2 ページ)

オープンソースと協調する勝者となるベンダーは? 2005年を振り返ると、ある法則性が見えてきた。(IDG)

» 2005年12月19日 09時41分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ボストン発――2005年は、各ベンダーがオープンソースソフトウェア(OSS)を採用するユーザーの満足感や安心感を高めようと、さまざまな取り組みが進められた。企業は、オープンソースソフトウェア技術の利便性や製品間の相互運用性の改良に力を入れた。また、各種サービスを立ち上げて、オープンソースソフトウェア利用で法的なリスクを負うかもしれないというユーザーの不安を緩和する構想を提示した。

 利便性の面では、SpikeSourceやSourceLabsを始めとするベンダー間で、オープンソースソフトウェアを「標準準拠認証」そして「サポート保証」を備えるスタック製品としてパッケージ化の動きが加速した。こうしたスタック製品を利用すると、開発者が多様なソフトウェアコンポーネント間で連係を行うための、設定/検証に要する時間を短縮することができる。

 ソフトウェアコンプライアンス分野においては、Black Duck SoftwareやPalamidaなどが提供しているような、ユーザーのプロジェクトにオープンソースコードが含まれているか、またソフトウェアがライセンス規定を遵守しているかを分析するサービスが数多く登場した。

 また、リスク緩和コンサルタント企業Open Source Risk Management(OSRM)、Lloyd's of Londonの保険引き受け業者であるKiln PLC、及びブローカーのMiller Insurance Servicesが、業界初となるオープンソース保険(Open Source Compliance Insurance)を企業に対して共同提供した。同保険では、初回の適用時に最大1000万ドルの補償金が支払われる。

 さらに、最先端のアイデアとしては、カーネギーメロン大学ウェストキャンパスのCenter for Open Source Investigation(COSI)が提案した「Business Readiness Ratings(BRR)」モデルだ。SpikeSource及びIntelが共同スポンサーとなっている。これは、現存する10万件以上のオープンソースプロジェクトの完成度を評価するためのモデル。一方、Palamidaは、ユーザーがソフトウェアの構成要素を確認できるよう、自社製品に含まれるサードパーティーの知的財産を一覧化することをベンダーに促す取り組みを始めた。

多数の分野に少数の企業

 オープンソース企業自体は毎週のように設立されて、その数を増やし続けた。他方で、2006年にはこのような企業の合併が相次ぐと思われる。そうというのも、ソフトウェアを無料配布する代わりに、サービスやサポートで収入を得るビジネスモデルが期待どおりに進まず、行き詰まる企業が現れる可能性があるからだ。

 最も、従来製品の代替となるオープンソース製品が利用できるアプリケーション分野は、拡大の一途をたどっている。例えば、エンタープライズコンテンツ管理分野においては、Alfresco Softwareが大手のEMCやIBMの地位を脅かしつつある。また、メッセージングおよびグループウェア分野では、ZimbraがMicrosoftおよびIBMに戦いを挑んでいる。オープンソースはウイルス対策ソリューション分野などにも進出しており、こうした傾向はこれからも存続すると考えられる。

 2005年、オープンソース企業の優等生と言われたのが、CRM(Customer Relationship Management)ベンダーであるSugarCRMだ。同社は2005年8月、ベンチャーキャピタルの第三者割当増資をおよそ1880万ドルにまで引き上げている。SugarCRMのCEOであるジョン・ロバート氏は、健全なバランスシートを維持できたことで、SugarCRMソフトウェアの有料版をすでに利用している、もしくは導入を検討しているフォーチュン500企業の間で、同社に対する信頼がさらに高まったと述べた。

ライセンスが多すぎる?

 オープンソースライセンスの数と種類が増えすぎているという話題は、一年を通して人々の口の端に上った。Open Source Initiative(OSI)は何がオープンソースであり、何が該当しないのかを決定する組織。今日までに約60のライセンスを認証している。

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