Gmailサーバに実装された? OpenOffice.org月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」――1月号(1/3 ページ)

OpenOffice.orgのトピックは尽きることを知らない。Googleのオフィススイート騒動が記憶に新しいが、Gmail上でフォーマット対応したことに気付いている人も多いだろう。

» 2006年01月13日 12時02分 公開
[可知豊,ITmedia]

 OpenOffice.orgにとって、2005年は大きな飛躍の年だった。2005年、@ITでニュースアクセストップは「OpenOffice.org」(関連記事)であり、@IT/ITmedia両編集長が予測「2006年 IT業界はこうなる」のインタビュー記事では、「OpenOffice.org 2.0の登場はエポックメイキングでした」と語られている。そして、主役のOpenOffice.org 2.0は、12月末で総ダウンロード数5360万を超えた。

 OpenOffice.orgで一つの方針として、2006年にはメジャーバージョンアップが予定されていない。この意向は、OpenOffice.orgが新たな価値観を生み出していく年なのだという意思表示でもある。

OpenOffice.org2.0.1日本語版をリリース

 2005年末にリリースされた2.0.1英語版に続いて、日本語版も正式にリリースされた(関連リンク)。今回のバージョンアップでは、幾つかの不具合を解消したほか、「差し込み印刷ウィザードの拡張」や「箇条書きのデフォルト記号を分かりやすく」といった新機能も盛り込まれた。また、Microsoft Officeとの互換性もさらに向上している。例えば、Wordファイルの読み込み時、両端揃えのレイアウトが崩れないといった改善を施しているなどだ。

 ただし、2.0の「Base」では、日本語を含むフォルダ/ファイル名を用いたodbファイルを作成した場合には注意が必要だ。2.0.1へアップデートする前に、必ずodbファイルのコンバートを行っておくことだ(関連リンク)

ポータブル版OpenOffice.org 2.0.1のリリース

 最新のトピックはというと、CD-ROMやUSBメモリから起動できるポータブル版「OpenOffice.org 2.0.1対応版」のリリースだろう(関連リンク)

 このツールは、実は簡単な仕組みで作られている。OpenOffice.orgをインストールすると、プログラムディレクトリ(Windowsでは、C:\Program Files\OpenOffice.org 2.0)とユーザーディレクトリ(Windowsでは、C:\Documents and Settings\[user名]\Application Data\OpenOffice.org2)が作られる。このうち、プログラムディレクトリをCD-ROMやUSBメモリにコピーすれば完成だ。プログラムディレクトリの容量は、218Mバイト程度なので256MバイトのUSBメモリに収まるほどだ。起動するには、programフォルダにあるswriter.exeなどを実行すればよい。初回起動時に、自動的に本体側にユーザーディレクトリが作成される。

 配布されている「ポータブル版OpenOffice.org」は、このようにしてコピーしたプログラムディレクトリのファイルにランチャーツールを付加したものだ。日本語化するには、配布版を日本語版ファイルで差し替えればよい。このテクニックは、鎌滝氏のWebサイトに詳しく掲載されている(関連リンク)

OpenOffice.orgを利用したツールが続々と登場

 OpenOffice.orgをベースにしたソフトは、ほかにもいろいろある。

 オーストラリアのNinth Avenue Softwareは(関連リンク)、OpenOffice.orgをベースとした会計ソフト「Gemstone Accounting」のプロトタイプを発表した(関連リンク)。これは、複数の通貨とプラットフォームとに対応した複式簿記ソフトだ。現在、Ninth Avenue Softwareサイトから無償でダウンロードすることができる。

 OpenOffice.orgを利用した翻訳支援ツールもある。「OmegaT」は、翻訳メモリ(関連リンク:Wikipedia)と呼ばれる翻訳支援ツールである。翻訳メモリでは、コンピュータが自動翻訳するのではなく、訳文データベースから類似文を検索することで、作業効率化を図る。「OmegaT」はJavaで実装されており、GPLによる配布だ。欧米のOSSコミュニティなどで広く利用されている。

 「OmegaT」では、OpenOffice.orgのファイル形式であるOpenDocumentにも対応している。OpenOffice.orgの文書を利用できるのはもちろんのこと、Microsoft Officeの文書ファイルであっても、OpenOffice.orgでいったん変換すれば、OmegaTで翻訳できることになる。OmegaTの日本語ユーザーマニュアルも公開されている(関連リンク)

 「OOxlate」は、OpenOffice.org1.1を利用した翻訳メモリツールだ(関連リンク)。Corinne McKay氏によって開発されたものであり、Perl言語で記述された翻訳メモリDBサーバと、OOoBasicで記述されたクライアントから成っている。

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