Gmailサーバに実装された? OpenOffice.org月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」――1月号(3/3 ページ)

» 2006年01月13日 12時02分 公開
[可知豊,ITmedia]
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 MicrosoftやSun Micorsystemsなどのベンダーは、しきりと生産性向上をトピックとしている。関連インタビュー記事「"IT基盤の再構築で法規制順守と**生産性向上**を両立できる"とマイクロソフトの平井常務」「CTCがSun Ray1200台の導入を発表――シンクライアントでセキュリティと生産性の向上目指す」といったタイトルが目立つ。

 それでも、本当にオフィスの生産性を向上させたいならば、そして、本当に利益を上げるためには、"生産性向上ツール"を導入する前に、その効果が利益に直結しているか? どうしたら直結できるか? をしっかりと検討すべきだろう。

 そのためには、オフィスの作業手順を根本から見直す場面も出てくるはずだ(関連記事)。このことを実行しない限り、MicrosoftのOffice 12を導入したとしても生産性が向上することはない。

 この点では、OpenOffice.orgも同様だが、OpenOffice.orgの場合はMicrosoft Officeのライセンス料を節約する効果があるのは言うまでもないところだ。

 この10年間、どこの企業のオフィスでもPCとMicrosoft Officeが使われるようになった。当初は、PCに慣れていない人もいるということで、今までの仕事をできるだけ変えないよう導入を慎重にしていただろう。しかし、企業に勤めるすでに多くの人は、PCやワープロソフトに慣れ親しんでいる。慣れ親しみ過ぎて、よく似たツールに乗り換えるのが億劫になっているほどだ。そこに罠がある。Microsoft Officeを使い続けても、OpenOffice.orgに乗り換えても、あなたのオフィスワークは多分何も変わらない。

 PCやインターネットといったIT技術の普及によって、この10年、ビジネスの状況は大きく変わった。次は、あなたが、オフィスワークを変える番だ。それでも、Microsoft Offieとそれに連係したシステム群で、これを実現しようとすれば、ITシステム予算は増大するばかりだろう。

 それでは、OpenOffice.orgがどのような役割を果たすのだろう? まずは、前述のようにOpenOffice.orgの導入で既存のITシステム予算を節減できることだ。そして、その浮いた予算でオフィスワークを変える投資が可能になるはずだ。OpenOffice.orgを素材として利用したOSSのグループウェアなどが登場すれば、そのような投資額も抑えられる。

NTTコムウェア、OpenOffice.org社内導入についての経過報告を公開

 ここまでで述べたようなことが本当に可能なのだろうか? そこで最後に、次のニュースを紹介しよう。

 NTTグループのSIを担うNTTコムウェアは、OpenOffice.org 2.0の導入に向けて実証実験を行っている。先日、OpenOffice.org日本ユーザー会で、その経過報告書が公開された。(関連リンク)

 経過報告書はZIPアーカイブファイルになっており、「OpenOffice.org社内導入についての経過報告」「Microsoft OfficeとOpenOffice.org適用対比表」「社内のQ&A掲示板の情報を取りまとめた資料」などが含まれている。

 現在、同社の部内107名によるすべての文書作成はOpenOffice.orgで作成されている。

 「Q&A掲示板に17件の質問があったが、それらは既存文書流用の表示関連や操作手順であり、新規作成文書についてはMicrosoft Officeで作成するのと変わらないことが実証できた。以上により、一定の条件のもとでビジネスの現場においてもOpenOffice.orgはストレスなく使えると言えると考えている」(OpenOffice.org社内導入についての経過報告)

 今後、このような動きがNTTグループ全体に広がる可能性もある。

 オフィスワークの変化への胎動は始まっている。

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