日本IBMの大歳社長は、「世界は急速にフラット化している。機会でもあり、リスクでもあり、企業や国家に課題を突きつけている」とし、イノベーションの重要性を強調した。
日本アイ・ビー・エムは2月2日、都内のオフィスでプレスブリーフィングを行い、イノベーションを柱に据えた3カ年の中期戦略「Challenge 2008」を説明した。
大歳卓麻社長は、「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭やインターネットの浸透によって世界は急速にフラット化している。それは機会であると同時に、突然競合が現れるというリスクでもあり、企業や国家に課題を突きつけている」とし、イノベーションの重要性を強調した。
大歳氏がChallenge 2008によって掲げた、日本IBMのあるべき姿は、顧客企業がイノベーションによって成功するためのパートナーになること。イノベーションは、しばしば「技術革新」と同義で語られることが多いが、大歳氏は、「発明(invention)と人の洞察力(insight)が交差することで生まれる新しい価値だ」とする。
IBMの事例で言えば、ソニーや東芝らとの「Cell Broadband Engine」に見る製品のイノベーションであり、アートネイチャーのCRM構築に見るビジネスプロセスのイノベーションだ。大歳氏は、さらにサービスやビジネスモデル、政策と社会などの分野でもイノベーションを加速したいと話す。
日本IBMはこの日、製造業の顧客の研究開発・製造に関するイノベーションを支援する専任営業部門として、「R&Dイノベーション事業部」を新設している。家電製品や医療機器、オフィス機器、産業機器に幅広くITの機能が組み込まれていく中、従来のモノづくりの技術だけではなく、組み込みソフトウェアやオープンな標準技術の採用などが求められている。製品開発手法のコンサルティングや、組み込み技術、製品開発の支援・請負の一元窓口を設けるのが狙いだ。
また、東京基礎研究所内に新たに「IBM エレクトロニクス・イノベーション・センター」も開設している。こちらは、顧客企業と日本IBMが専門知識や経験を持ち寄り、電機業界をリードするイノベーションを生み出すのが狙い。松下電器産業、サムスン、三洋電機といった顧客企業との協業もすでに始まっているという。
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