BeOSの後継OSが舐める辛酸、これはスーツとギークの局地戦か?(1/2 ページ)

BeOSの後継OS「ZETA」を開発するyellowTABが日本の総代理店であるBerry Japanと契約を打ち切った事件は、ZETAの将来を閉ざしてしまうのだろうか。

» 2006年02月13日 16時04分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 私のブログ「Planet GEEK」において触れた「ZETAを開発するyellowTABが日本の総代理店であるBerry Japan(以下、Berry)と契約を打ち切った」事件は、スーツとギークの見解の相違が招いたことと私は当初考えていた。しかし、取材を進めていくと必ずしもそれだけではないことが分かってきた。

 元Apple幹部のジャン・ルイ・ガセー氏が1990年に創業したBeの主力OS「BeOS」は、2001年、Beの知的資産がPalmに売却されたことで、その今後が注目されていた。その後2003年に独YellowTABがPalmから無期限のライセンスを得て開発しているのが、「ZETA」である。ITmediaでも過去に数度取り上げてきたが、2005年7月にZETA 1.0が国内でも販売されたことで、とりあえずは船出を果たした格好となった。

 しかし、それから半年たった2006年1月、YellowTABは日本の総代理店であるBerryとの契約を解除するというリリースを発表し、日本国内のZETAユーザーは騒然となった。YellowTABはこの理由を「Berryが日本市場でのZETAの売り上げを一切支払わず、再三契約違反について申し入れを行ってきたにもかかわらず改善されなかった」ためであると説明した。一方、Berryからは公式のリリースは現時点でも出されていない。

 私はyellowTABのCEOであるベレンツ・コーツ氏のほか、Berryの関係者にコンタクトを取り、今回の件について聞いた。

Korz.jpg 「今回の決断は、長期的に日本のユーザーに良いサービスを提供するためはやむを得ないもの」とコーツ氏

 今回の問題点は、BerryがyellowTABの製品を受け取り、それを販売して売り上げを出しながらも、総代理店契約で発生したyellowTABへの支払い義務を果たさなかったことに尽きる。

 時間軸で見てみると、日本国内でZETAが発売された2005年7月から2カ月にわたり、Berryからは「(yellowTABへの)送金は済んでいる」「人的ミスで海外送金が通らなかった」などの報告があったという。しかし、2005年9月になっても入金を一切確認できなかったため、yellowTABのスタッフが直接Berryへと向かい、そこでようやく支払いが行われていない事実をつかんだのだという。この状態に不安を感じたYellowTABは、分割による支払いという妥協案を提示し、Berryの代表取締役社長である大場章弘氏もこれを同意、契約書にサインをしたが、今日まで分割での支払いも行われていないため、契約解除に至ったという。

リリースからは読み取れない事実

 取材を進めていくうちに、プレスリリースからは読み取れなかった事情も見えてきた。リリースを素直に読むと、Berryによる契約の履行が不可能であると判断したyellowTABが分割払いプランを提示、それに両社がサインしたにもかかわらず、その分割払いすら行われなかったので契約を解除したような時間軸が見える。

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