通信業界向けに受注システムの「核」を提供するビトリア

米Vitriaのデール・スキーンCEOに話を聞いた。

» 2006年02月16日 19時40分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 最近、あまり使わなくなった印象の「3文字言葉」の1つがEAI(エンタープライズアプリケーション統合)だ。米Sunmicrosystemsに買収されたSeebeyondや、WebMethod、Tibcoといったベンダーが知られているが、これらの企業の多くは現在、「SOA」あるいは「BPM」といった言葉を新たなキャッチフレーズとして選択している。

 この分野で知られる企業として、米Vitria Technologiesも挙げることができる。BPMソリューションの展開を掲げる同社が現在最も力を入れているのが、主に通信業界向けに提供する受注管理と例外処理ソフトウェアだ。同社の設立者兼CEOを務めるデール・スキーンに話を聞いた。

来日したデール・スキーンCEO

 デール氏は「2005年は価格下落圧力もあり、それほど成長することができなかった。EAI市場は飽和しており、これまでのビジネスのままでは大きな成長は見込めない。そこで、われわれは、Order AcceleratorやResolution Acceleratorなどの“Business Process Application”の分野に軸足を移し、大きな成長を実現させることを考えている」と話す。

 同社は、元々の看板製品であるEAIツール「BusinessWare」をベースに、受注管理ソフトウェアである「Order Accelerator」、例外処理を行う「Resolution Accelerator」という組み合わせで、ADSLサービス事業者などを支援していく考えだ。

 Order Acceleratorは、受注処理や料金プラン、課金請求といったシステムの違いを吸収するための「共通用語ライブラリー」が基盤になる。その上で、営業、運用、サポート、経理財務といった一連のビジネスプロセス全体をカバーするパッケージシステムのような機能を提供する製品となっている。

 新規顧客サービスの追加や削除、サービスの中断、再開、受注オーダーのキャンセルといった業務プロセスが、いわゆるベストプラクティスの形で提供されることにより、ユーザー企業にとってのシステム開発や保守運用にかかる負担を大幅に軽減できる。

 自前でこうしたシステムを構築する場合、システム間の連携や統合に手間がかかるだけでなく、仕様ミスによる手戻り、バグの発生など、数多くの不確定要素を残すことになり、時間やコストへの負担増が予想される。

 一方、Resolution Acceleratorは、企業が受注や物流など、さまざまな業務プロセスをこなす上で、システム的には対応仕切れないさまざまな例外処理が発生することに目をつけたソフトウェア製品だ。トランザクションとして発生したデータがエラーではないかをチェックし、例外的なものが発生した場合に、従来のように手作業で処理するのではなく、例外専用のプロセスに載せて処理することでシステム的に対応する。例外を、パターン化、ルール化して対応しようとするソフトウェアとなっている。

 システムキッチンなどを製造する米MasterBrandは、コンタクトセンターを通じて顧客から注文を受けるシステムに、Order Acceleratorを導入した。その結果、受注から出荷までに掛かる時間が短縮されたことで、顧客満足度を向上させることができたとしている。

日本法人の中畑恒夫社長

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ