Workplace Managed ClientとNotesが完全に統合されるHannoverの全貌が見えてきたことで、日本IBMは「Workplace Forum」を開催し、Notes/Dominoの進化形として「Workplace」を売り込む。
日本アイ・ビー・エムは2月24日、「Workplace Forum」を開催し、Notes/Dominoの新たな進化形である「IBM Workplace」の詳細を顧客やパートナーらに披露した。
IBM Workplaceは、人、プロセス、情報をフロントエンドで統合できる環境を提供し、人の生産性を高め、外部環境の変化に迅速に対応できる企業、「オンデマンド・ビジネス」を実現する取り組みだ。同構想が明らかにされた当初は、J2EEをベースとしたNextGen製品とNotes/Dominoが並行していく「2レーン・ストラテジー」が強調されすぎたため、顧客らは既存資産が保護されないのではないかと大いに心配した。しかし、昨年5月にベールを脱いだNotesクライアントの次期メジャーアップグレード、「Hannover」(コードネーム)がようやくそうした懸念を払拭しつつある。
「Notes/Dominoでやっていることをそのまま実現し、顧客資産の保護を担保しながら、技術的には新しいものをどんどん取り入れ、人の生産性に革新をもたらすのがWorkplaceの狙い」と話すのは、日本IBMでLotus事業を統括する澤田千尋事業部長。
Workplace Forumは、昨年までNotes/Domino Dayとして開催されてきたカンファレンス。EclipseベースのIBM Workplace Client Technologyが基盤となり、IBM Workplace Managed ClientとNotesが完全に統合されるHannoverが見えてきたことで、カンファレンスの名称変更に踏み切った。なお、Hannoverの出荷は2007年を予定している。
1989年にLotus Notes R1がリリースされて以来16年、その累積出荷シート数は実に1億2500万に上る。「Notesが優れていただけに時間がかかったが、オープンなインターネットやJavaの技術の整備が進み、WorkplaceをNotes/Dominoの新たな進化形と位置づけられるようになった」と澤田氏は話す。
EclipseベースにしたWorkplace Client Technologyは、NotesとWebやJavaの技術の融合を可能にし、さらにクライアントサイドで業務アプリケーションも統合できるようになる。昨年のLotusphere 2005 Orlandoで、当時のLotus部門GMだったアンブッシュ・ゴヤール氏が「Notesプラス」「Dominoプラス」と表現した、2レーン・ストラテジーに代わるアプローチだ。
澤田氏に続いて基調講演に登場した、日本IBMでテクニカル・セールス・サポートを担当する関孝則技術理事は、そうしたアプローチを「Hannover >= Notes」と表現する。
これまでと同様、既存のアプリケーションの動作を保証するほか、サーバはNotesの機能を使う限りはDominoだけでいい。その一方、「プラス」や「より大きい」機能として新たに盛り込まれてくるのが、「Activity-Centric Computing」(アクティビティ中心のコンピューティング)だと関氏は話す。
このアクティビティは「プロジェクト」という言葉で置き換えると分かりやすいかもしれない。Hannoverでは、アクティビティを中心に据え、あるプロジェクトに関連する電子メール、カレンダー、ドキュメント、そしてチャットといったさまざまな情報をひも付けてナビゲートし、情報共有をより自然にしてくれるのだ。
「さらにHannoverやそれ以降のNotesでは、これまでばらばらだったコラボレーションとビジネスプロセスを統合し、人の役割や利用状況に応じて最適な環境を提供するプラットフォームへと進化する」(関氏)
関氏は、Hannoverを「リッチクライアント・ポータル」と表現する。これまでポータルといえば、中間層でバックエンドのアプリケーションやサービスを統合し、Webブラウザに配信するものと決まっていたが、WebSphere Portalを統合する将来のNotes/Dominoは、ポータル機能をクライアントサイドにも盛り込むことで、業務アプリケーションとコラボレーションの統合をさらに柔軟にしてくれるだろう。
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