使い勝手の追求は「終わりなき旅」――コグノスVP

ビジネスインテリジェンスの必要性が日本でも高まっている。SOX法対応などもBI導入に深くかかわってくるテーマだ。今後のBIの行方について米Cognosのテクノロジー担当バイスプレジデントに話を聞いた。

» 2006年03月13日 08時28分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 社内に蓄積したデータを動的に使いこなすことで、ビジネスの差別化を図るためのツールであるビジネスインテリジェンス(BI)の必要性が日本でもますます高まっている。また、SOX法対応などもBI導入に深くかかわってきそうなテーマだ。米国でのいきさつも含めて、今後のBIの行方について米Cognosのテクノロジー担当バイスプレジデント、ドン・キャンベル氏に話を聞いた。

コグノスのドン・キャンベル氏

ITmedia ユーザー企業はCognos BIのどんな点を評価して採用していますか。

キャンベル Cognos 8 BIはパフォーマンス管理をするための基盤となる製品です。企業には1つのプラットフォームにより、さまざまな側面から利益を享受してもらえるものです。さまざまなアプリケーションを構築する際の拡張の基盤としてCognos 8が評価されています。

 また、Cognos 8はSOA(サービス指向アーキテクチャー)をベースにして構成されています。もともとは、レポーティング製品であるReportNetをSOAによってCognos 8に統合したといういきさつがあります。

ITmedia Cognosが提供する分析系エンジンであるPowerPlayとReportNetは「別物」とするBIベンダーもあります。

キャンベル 両製品を含めて、Cognos 8で完全に1つの製品として統合されたと考えていいです。Cognos 8 BIはもともと、分析に関する機能をPowerPlayから、また、レポーティングに関する機能をReportNetから取り出し、さらに、スコアカーディング、ダッシュボードも含めて、BIに関するすべての機能を1つのアーキテクチャ上に統合した製品です。その意味では、PowerPlayで獲得した分析機能を、新たな形で進化させたと言えます。

 また、Cognos 8 BIに分析機能を統合して提供できる強みは、多次元データはもちろん、PowerPlayではできなかったリレーショナルデータベースからの情報の操作も可能である点です。

ITmedia ユーザーがBIツールを使う際に問題となる点は何ですか。また、それに対してCognosはどのように対応していますか。

キャンベル ユーザーにとっての使い勝手の問題というものは、それぞれがいろいろな状況下で感じることですので、より良いものの追求というのは「終わりなき旅」だと考えています。Cognos 8 BIをリリースして感じていることは、ユーザーの間に共通性が生まれてきたことです。ユーザーのBIツールへの期待、どんなデータを取得したいのか、何をしたいのかといった事柄が明確になってきています。われわれ自身としては、ユーザーの使い勝手を把握することを重要な課題として掲げており、常に改善を続けていく考えです。

 われわれは今「ワンクリックBI」に取り組んでいます。これは、ユーザーが自分の欲しい情報を取得するまでに行うクリック数をできるだけ減らそうとするものです。この取り組みがCognosの製品が支持される理由の1つになっていると考えています。

ITmedia 現在、OracleやMicrosoftといったデータベースベンダーがBIに本格的に取り組もうとしています。

キャンベル 確かにこうしたベンダーがBIに取り組んでいることは認識しています。ただし、これらのベンダーはどちらかというと、自社のデータベース製品などを購入してもらうためにBI機能を付加している印象があります。一方で、技術的な観点から言うと、われわれは特定のベンダーによることなく、どんな環境にも適用できる中立性を持っています。結果として、ユーザー企業に提供できる柔軟性はかなり大きなメリットになると考えています。また、SOAに対応することで、BIの機能をコンポーネントとして提供することができます。

ITmedia 日本では2008年3月に「日本版SOX法」が制定されるといわれており、企業の内部監査に注目が集まっています。米国での経験からユーザー企業にアドバイスなどはありますか。

キャンベル 北米でSOXが制定された際に、企業としてわれわれ自身が対応したいきさつがあります。とにかく「財務の透明性」の重要さを再認識することになりました。日本企業は米国企業の経験をうまく生かせば、こうした法律面での動きに対応することもそれほど難しくないと考えています。

 Cognosとしては、日本版SOX法に特化した製品自体はありませんが、財務報告やビジネスプロセス管理など、さまざまな製品を提供することで日本企業を支援したいと考えています。

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