キャンペーンは常套手段に? Origamiの落胆と険しいニッチ市場(2/2 ページ)

» 2006年03月27日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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  • Windows Media Playerの新しいスキン 大きなコントロールボタン("再生"や"早送り"など)とともにWindows Media Playerを画面いっぱいに表示する。
  • 新たなコントロール 幅広のスクロールバーや大きな最小化および最大化ボタン。また、すべてのファイルが、自動で小さい画像(サムネール)を使って表示される。
  • 数独 人気のある論理ゲームのタッチスクリーンバージョンである。

 UMPCの第1世代のリリースは、Microsoftの次期クライアントOSのWindows Vistaからわずか数カ月前になる予定だが、OSにはWindows XP Tablet Editionを採用する。第1世代のUMPCでは、半透明のウインドウなどVistaの新しいユーザーインタフェース機能(総称してAero)のサポートに必要なハードウェア(DirectX 9グラフィックカードなど)が搭載されない見込みである。また、Vista自体をまったく実行できない可能性もある(必要なメモリが十分にない場合など)。Microsoftの発表では、Vista対応のUMPCは、同OSのリリース後に出荷する予定であるという。

 第1世代のUMPCは、2006年の第2四半期に出荷が開始される予定で、価格は小売価格で600〜1000ドルになる模様。IntelベースのUMPCはASUS、Founder、Samsungから、VIAベースのUMPCはTabletKioskおよびPaceBlade Japanから提供される予定だ。

Ultra-Mobile PCが市場を成立させる可能性

 第1世代のUMPCは、PDAやスマートフォンなどの多機能ハンドヘルドデバイスに比べて、高価で持ち運びにくく、バッテリー持続時間が短い。また個々の機能についても、各機能専用のハンドヘルドデバイスに比べてパフォーマンスが落ちる。例えば初期のUMPCでは、最先端のポータブルゲームプレーヤーに匹敵するようなグラフィック機能は提供されないし、ポータブルDVDプレーヤーのようにDVDを再生することもできない。また、キーボードが搭載されないため、電子メールや文書の作成といった用途でラップトップPCの代わりに使用することも難しい。したがって初期のUMPCは、新し物好きやテクノロジー通といった一部のユーザーの興味を引くにとどまるだろう。ただし、今後数年にかけてバッテリー持続時間と処理性能が向上し、価格が下がってくれば、より小型のデバイスでラップトップの持つ性能と多様なアプリケーションの利用が見込める。また、キーボードやCD/DVDドライブが搭載されていなくても構わないと思うコンシューマーの心を捉えることができるかもしれない。

 UMPC自体より印象的だったのは、UMPCの発表に先立ち展開されたマーケティングキャンペーンだ。CeBIT開催の数週間前にMicrosoftは謎めいたWebサイトを立ち上げ、"Origami"というUMPCプロジェクトのコード名を登場させていた。また、このデバイスのプロトタイプを写したMicrosoftの内部ビデオが流出していた。このアプローチが功を奏して、AppleのiPodに対抗する音楽プレーヤーか任天堂のDSまたはソニーのPSP(プレイステーションポータブル)に対抗する携帯ゲーム機器の提供を同社が計画しているのではないかという憶測が飛び交い、まずブロガーの間で、後に主要メディアでも大きな話題になった。UMPCの正体が公式に明かされたときに失望の声が多数聞かれたのは事実だが、通常のMicrosoftのリリース前キャンペーンと比べてメディアの反応が大きかったため、今後の同社のコンシューマー向け製品リリースに際してはこのアプローチが標準となるかもしれない。

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