15年ぶりのチャンスを生かせ強い中堅企業のIT化シナリオ(2/3 ページ)

» 2006年03月31日 08時00分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

必要なのは投機ではなくIT投資

 これは、中堅・中小企業にとってまたとない好機が訪れたことを意味している。バブル経済崩壊後、15年ぶりに訪れた好機といっていい。このチャンスをどう生かすのかが現在の中堅・中小企業に突きつけられた最大のテーマとなっている。

 まず心掛けるべきは、かつてのバブル期の二の舞は避けなければならないということ。バブル経済的には、実体経済以上に資産価値が上昇したことを受けて、投機的な経済活動が横行した。その轍(てつ)を踏んではならない。

1990年代の米国を参考に

 そこで1つの手本になるのが、1990年代からのアメリカの取り組みだ。1980年代に「双子の赤字」を抱え、不況にあえいでいたアメリカは、ITベンチャーが活躍する90年代に入って、ITの積極活用と規制緩和などでその後の長期にわたる景気拡大を実現する。

 日本の中堅・中小企業もこの好機を捉え、ITの積極活用を推進しなければならない。もう1つの規制緩和など法制の取り組みは、すでに指摘したようにその環境を整えている。個々の中堅・中小企業が今取り組むべきは唯一積極的なIT投資と施策であろう。

 問題は、そのIT化の内容。まず、より積極的なIT投資が求められるという点は指摘できる。日本のIT投資意欲は欧米やアジア諸国に比べてもまだまだ低いという統計があるからだ。米国の調査機関によると、北米、欧州、アジア太平洋地域および日本の2006年のIT投資予算を聞いたところ、日本だけが予算を減らすという企業の数が増やすという企業を上回ったという(関連記事)。もちろん、北米、欧州、アジア太平洋は軒並み増やす企業が大きく上回った。

 この調査結果が状況を正しく表しているかどうかは分からないが、ガートナーの調査でも日本のIT投資は中国やインドを大きく下回っていることは事実。少なくともアジアの主要諸国の中で、日本企業のIT投資は諸外国とは裏腹な様相を示している。

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