「グループウェアは企業文化まで変える」と青野氏(2/3 ページ)

» 2006年04月14日 07時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

使いやすさの追求は永遠のテーマ

アイティセレクト サイボウズの製品がユーザーに受け入れられた最大の理由は何ですか。

青野 使いやすさです。サイボウズがつくった製品は使いやすい、と多くのお客様に認めていただいたからだと。これは言い換えると、サイボウズがつくるものは使いやすくないといけない、というお客様の要望でもあるので、使いやすさについては当社の強みであるとともに、永遠に取り組む最大のテーマだと肝に銘じています。

アイティセレクト なぜグループウェアを開発しようと思われたのですか。

青野 そのきっかけは、私が松下電工にいた頃に遡ります。大きな会社ですからオフィスも広く、たくさんの人が働いていました。それで各自外出などで席を外すときは、オフィスの中央あたりに設置されていたホワイトボードに行き先や帰社時間を書いていくのですが、不在の人に電話があると、周りの人がいちいちホワイトボードを確認しに行かなければなりませんでした。これってとくにホワイトボードから離れている部署の人たちにとっては、結構たいへんな労力だったんです。

 そんな状況が前提にあって、入社して2年ほど経ったある日、知人が当時利用され始めていたウェブ上にホワイトボードをつくったので見てほしいと。ウェブ上なのでブラウザからサーバーにアクセスすれば、誰でもどこからでも見られる。知人曰く「これでもうスケジュール確認の電話はなくなるよ」と。私の頭の中にガーンと強い衝撃が走ったのを今もよく覚えています。これは日本中のホワイトボードがなくなるぞと。もっと使いやすくして世の中に普及させようと思い立ったのが、翌年にサイボウズを創業する発端になりました。

アイティセレクト でもその頃だとロータス ノーツをはじめとしたグループウェア製品が普及し始めていましたね。それでも対抗できると。

青野 確かに普及し始めていました。ただ、私にはもっと簡単で手頃な価格のものを出せば必ず受け入れられるという確信がありました。というのは、私自身、松下電工時代にロータス ノーツを導入する現場の管理者をやっていましたから、そのたいへんさが身に染みてわかっていたんです。全パソコンへのインストールや更新作業、さらにみんなに使い方を教える役目……しかも兼業の片手間な管理者だったので、これはきついなと。

 とくに片手間な管理者にとって最も手間がかかるのは教育です。手間がかかるだけでなく、ヘタをすると人間関係までおかしくなってしまう。そうした苦い経験から、私は自分が使いやすいかどうかより、例えば部長が使えるかどうかという発想でないといけないとつくづく思いました。

 当時、ウェブベースのグループウェアもいくつか出始めていましたが、私が見たところではどれも使い勝手がよくありませんでした。使いやすさを売り物に、部長も使える製品を提供すれば、これは絶対に行けると。そう思って事業計画もそこそこに、とにかくつくろうと走り出しました。

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