「グループウェアは企業文化まで変える」と青野氏(3/3 ページ)

» 2006年04月14日 07時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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グループ経営の強化で第二の創業期へ

 サイボウズが現在提供している製品群は、前述の「サイボウズ オフィス」および大規模向けポータル型グループウェア「サイボウズ ガルーン」のそれぞれ最新版をはじめ、グループワーク支援ソフトなど6種類。また昨年来、ビジネスパーソンの情報収集を支援するポータルサイト事業の展開や、ネットワーク構築会社、通信サービス会社などとの資本提携、研究開発子会社の設立など、事業領域の拡大とともにグループ経営化を積極的に進めている。とはいえ、そうした展開のすべてに共通するのは、「情報共有」への強いこだわりである。

 青野氏が昨年4月にトップに就いた段階から、同社は第二創業期に入った。今後の事業展開における注力ポイントは何か。さらに、企業がグループウェアを活用するうえで大事な点は何なのか。青野氏ならではの見解を伺った。

アイティセレクト 今後の事業展開における注力ポイントは。

青野 まずグループウェア市場についてはサイボウズ一色にしたいですね。そのためには、これまで最も強みを発揮してきた数十人から200人規模の企業のお客様に加えて、中堅および大企業、一方で10人程度の小規模な企業のお客様へも裾野を広げていかないといけないと考えています。とくに中堅・大企業のお客様に対しては、EIP(エンタープライズ・インフォメーション・ポータル)機能を付加して昨年発売した「サイボウズ ガルーン2」が自信を持ってお勧めできる製品なので、営業体制を一段と強化して普及拡大に努めたいと思っています。

アイティセレクト 専門家の立場から、企業がグループウェアを活用するうえで大事な点をお教え下さい。

青野 グループウェアを有効活用するうえでの最大のポイントは、全員が使うことです。私が知る限り、社員全員が使っておられるお客様でうまく行っていないケースはありません。でも心がけていただきたい点が二つあります。一つは業務にだけきっちり使おうとせず、社員同士の飲み会やゴルフの日程調整などにも利用して、とにかく気軽に楽しく使っていただきたい。もう一つは経営トップの方に。自ら率先してグループウェアを通じて社員にメッセージを出すようにして、社員全員がそれを読むように仕向けていただきたい。その効果が大きいことを経営トップの方にはぜひ認識していただきたいですね。

アイティセレクト それはまさにグループウェアの本質論ですね。

青野 そうです。本質論でもっと踏み込んで言えば、私は自分たちの活動をソフトだけ提供している会社だとは思っていません。ソフトはあくまでも情報共有を行うためのコミュニケーションの道具。グループウェアの本質は、そうした情報共有によるコミュニケーションが会社の雰囲気を変え、ひいては企業文化まで変えるようなパワーを持っていることです。私たちがお客様にぜひグループウェアを活用していただきたいと思うのは、個々に新しい企業文化をつくり上げてこれからの活力の源泉にしていただきたいと考えるからです。

アイティセレクト 昨年8月に研究開発子会社のサイボウズ・ラボを設立されたのもそうした思いを込めて…。

青野 サイボウズ・ラボは世界市場に打って出るための布石です。今年半ばくらいには英語版の新しいグループウェア製品の姿を明らかにできると思いますが、本当にやりたいのは私たちが信じる「チームワークの文化」を世界の市場に問うこと。同じIT分野の研究開発会社として脚光を浴びているグーグルラボに、追い付き追い越せという意気込みで挑みたいと思っています。

「私たちが一番こだわっているキーワードは情報共有。グループウェアを皮切りに、これからはそれを実現するためのサービスも大きく広げていきたい」と語る青野氏。まさしく「電脳社会の未来を担う若者たち」の陣頭指揮を執るに相応しいエネルギッシュなリーダーである。「IT企業は新しいテクノロジーを生み出してこそ本物。サイボウズは真のIT企業であり続けたい」とは確固たる自信に裏付けられた発言だろう。ソフト業界にとどまらず日本の産業界全体に活力を与えるためにも「打倒!グーグル」を目指してほしい。

なお、このインタビューは「月刊アイティセレクト5月号」(3月28日発売)に掲載しています

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