比較すべきは管理会計――財務会計パッケージの新たな選択ポイントゼロから始める中小企業IT化への道(1/2 ページ)

近年ますます重要度が高まっている財務会計パッケージ。しかし市場の多くのパッケージには差がなくなってきている。今、中小企業はどこを選択のポイントにすればよいのだろうか?

» 2006年05月08日 10時45分 公開
[伊嶋謙二,ITmedia]

 この連載では、これまで中小企業向けのITシステムを包括的に見てきた。今回で第10回目となったので、ここからは以前紹介したITの中でも特に導入が進んでいるシステムについて、さらに一歩進んだ使い方を紹介したい。そこで今回は、近年ますます重要度が高まっている財務会計システムについて取り上げてみよう。

 連載の第4回で触れたように、中小企業の約9割が財務会計システムを導入しており、中小企業にとって必須のITとなっている。まずは、どのようなパッケージ製品が実際に使われているのかを見てみよう。

利用シェアと満足度評価が異なる財務会計パッケージ市場

 中小企業における2005年の財務会計パッケージ市場シェアは図のようになっている。OBCの「勘定奉行」が頭ひとつ抜けた形でトップだ。約30%と高いシェアを占めている。2位は現在何かと話題性の高い弥生の「弥生会計」で17.1%、3位はピー・シー・エーの「PCA会計」13.9%と続いている。

グラフ 出典:ノークリサーチ「民間企業のITアプリケーション利用実態調査と評価レポート」

 ただ、ここで気を付けなければならないのは、必ずしもシェアと満足度評価が一致していないという点だ。この図では折れ線グラフの数値が顧客満足度となっている。この数値を重ねてみると、シェアトップの勘定奉行の満足度は62.3%であるのに対し、シェア3位のPCA会計の満足度が68.4%でトップと逆転している。この結果から中小企業が学べるのは、シェアが高いパッケージを導入すれば満足する結果が得られるとは限らないという点だろう。シェア上位のパッケージ製品を導入することではなく、それぞれの企業事情にあったパッケージを選択するという当たり前のことをしっかり行う必要がある。

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