比較すべきは管理会計――財務会計パッケージの新たな選択ポイントゼロから始める中小企業IT化への道(2/2 ページ)

» 2006年05月08日 10時45分 公開
[伊嶋謙二,ITmedia]
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 財務会計システムは特にパッケージ化がしやすいシステムである。そのため、市場には非常に多くの製品が流通している。その一方で、各パッケージの製品スペックも横並びの状態になっているというのも現状だ。多くの中小企業は製品の価格や、機能、サポートなどといった点を多角的に評価して、自社に見合ったパッケージを選択しているはずだが、このような市場の状況にあって、果たして正しい選択ができているだろうか?

 そこで財務会計パッケージが持つ多くの機能の中でも、中小企業には特に「管理会計」機能に着目した選択をお勧めしたい。

ITを活用した経営を実現する要、管理会計

 管理会計は、経営者が自社の業績や経営状態を把握し、意思決定を行うための材料を提供する機能といえるものだ。「財務会計」が外部への報告を目的としたものならば、管理会計は自社の意思決定や戦略立案のための機能ととらえるといい。

管理会計の概念図 管理会計の概念図

 管理会計は財務会計のように外部に公表するデータではないので、特に会計基準を守る必要はなく、経営者が戦略を立てやすいデータを入手できる仕組みを作ればよいのである。例えば、経理からの財務データに加え、営業部門からは売上データを、製造部門からは生産データを入手できるような仕組みを作る。経営者は財務の数字だけにこだわらず「自社の売れ筋商品は何か?」「現在、在庫を抱えている商品は何か?」といった財務には表れない数字を素早くチェックすることで、企業戦略の意思決定の判断材料として活用できるようになる。この管理会計を上手に活用することこそ、「ITを活用した経営」につながるといえる。

 現在、市場にはこの管理会計機能を搭載した財務会計パッケージが増えてきている。特にERPパッケージはそのコンセプトからも必ずこの機能は搭載されていると考えてよい。また、従来の会計パッケージも機能強化の一環として、管理会計機能を盛り込んでいる。現在、各ベンダーはこの機能を差別化のポイントとして考えており、分析機能やレポーティングツールを強化し力を入れているのだ。

 これからの中小企業は、「管理会計」機能を財務会計システムの選択ポイントにすべきだろう。

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