IBMは、パートナーとのエコシステム構築を重視し、ソリューションのポートフォリオ拡充に努めている。ISV&開発者担当のダンカンGMは、「パートナーの成功がIBMの成功」と話す。
1996年に「ビジネスパートナー憲章」を発表して以来、IBMはパートナーとのエコシステム構築によって、ソリューションのポートフォリオ拡充に努めてきた。特に中堅および中小企業(SMB)の市場においては、パートナーを最大のチャネルとして重視している。IBMでISV&デベロッパーリレーションズ部門を統括するビュエル・ダンカンGMと同部門アジアパシフィックのスティーブ・ウィルキンズ ディレクターに話を聞いた。
ITmedia IBMのパートナープログラムについて教えてください。
ダンカン 顧客にソリューションを届けるために、何にもまして重要なことは、ビジネスパートナーとのエコシステムの創造です。特にローカルのパートナーとの協業が大切であり、われわれは業界ごとにISVらを支援していく「PartnerWorld Industry Networks」を構築しています。世界60カ国5000社以上のISVに参加してもらい、彼らがビジネスを拡大できるようテクノロジーを提供したり、さまざまな支援プログラムを用意しています。IDCによれば、IBMのISVプログラムは、Microsoftを抑え、トップの評価を得ています。
また、個々のデベロッパーとの協業も欠くことができません。われわれは、オープンソースやオープンスタンダードのテクノロジー、あるいはそれらに準拠したIBMのテクノロジーをデベロッパコミュニティーに提供するためにdeveloperWorksサイトを開設しています。月間250万人を超えるデベロッパーらが、スキル向上のために活用してくれています。
大学生のITスキル養成のための取り組み「IBM Academic Initiative」も重要です。彼らをより競争力のあるIT技術者として育成すべく、オープンソースの最新テクノロジーやIBMのハードウェア/ソフトウェア、コースウェアなどを提供するものです。
こうした取り組みは、重要な市場である日本でも専任者を置き、推進しています。
ITmedia 日本市場のエコシステムはどこまで広がっているのでしょうか。
ダンカン PartnerWorldで200社がビジネスの拡大を図っていて、developerWorksで月間15万人が、Academic Initiativeでは81大学3300人がスキルの向上を図っています。
ITmedia 競合他社も同様の支援プログラムを用意しています。違いは何でしょう。
ダンカン 3つの領域でIBMは他社にないものを提供できています。ハードウェア/ソフトウェアの強力なポートフォリオ、オープンスタンダードのテクノロジー、そしてパートナーの領域を決して侵さないコミットメントです。
LinuxやEclipseの例を見てもお分かりのように、IBMはオープンソースやオープンスタンダードの取り組みでリーダーシップを発揮しています。オープンな環境でソリューションを提供していきたいISVらがわれわれとの協業を検討するようになってきています。
Microsoftの場合には、ご存じのようにアプリケーションの分野に参入しており、パートナーとの競合が起こっています。しかし、IBMは決してパートナーと競合せず、マーケティングや営業部隊による案件発掘や契約をまとめる支援まで行っています。
また、世界に拠点のあるリサーチラボもパートナーらの支援に大いに役立っています。東京基礎研究所は最近、「IBMエレクトロニクス・イノベーション・センター」を開設し、デジタル家電メーカーの研究者らと協業を進めていることを発表しましたが、革新的なソリューションを提供したいISVらとの協業も行っています。e-ラーニングのシステム・テクノロジー・アイは、リサーチラボと共同で製品をWebSphereに移植し、事業を拡大することができたといいます。
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