MS、Ajaxツールセットの名前から「Comet」を洗い流して「Atlas」へ

Microsoftは、ASP.NETをAjaxに対応させるMicrosoft版Ajaxツールセットの名称を、洗剤の商標をもじった「Comet」から「Atlas」へと変更した。

» 2006年05月15日 11時26分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 巧みなコードネームを考え出すのを得意とするMicrosoftは、同社のAjax(Asynchronous JavaScript and XML)ツールセットを、洗剤の商標であるAjaxの競合製品にちなんで名付けようとしていたが、発表の数時間前に名称が変更された。

 サンフランシスコで開催された「Ajax Experience」カンファレンスのパネルディスカッションに出席したMicrosoft Atlasチームのグループ製品マネジャー、ブラッド・エイブラムズ氏は、「現在、Atlasと呼ばれているMicrosoftの技術は、数時間前まで『Comet』(注:洗剤の商標でもある)という名前で呼ばれていた」と語った。

 「発表の数時間前にAtlasという名前に変更された。最初はCometという名前だったが、最終段階でその名前を使わないことに決めた」(エイブラムズ氏)

 エイブラムズ氏によると、開発チームはCometという名前を選んだのだが、プロジェクトに携わっているマーケティンググループが発表の前にその名前に反対したという。同氏は、その辺りの詳しい事情については明らかにしなかった。

 ここ数年間はおとなしくなったものの、ソフトウェア業界の巨大企業であるMicrosoftは、長きにわたって闘争的な企業として、競合企業を軽蔑したり、業界の取り組みに対して孤立主義を貫いたりすることが多かった。新たに登場しつつある標準に真っ向から対立する名前は、Microsoftのマーケティングチームが伝えようとしているメッセージにそぐわないものだったようだ。

 一方、Ajax分野にはCometという用語がすでに存在する。

 「Dojo」プロジェクトの共同創始者であるアレックス・ラッセル氏は、Webブラウザが絶えずサーバにアクセスしてコンテンツの更新をチェックするのではなく、サーバが常にデータをプッシュ(ストリーム)配信するようなアプリケーションを表すのに「Comet」という用語を考え出した。

 Dojoの共同創始者の1人、ディラン・シーマン氏は、「わたしは毎日、Cometを使っている。これは、Ajaxという用語に対するジョークのつもりで付けられた名前だ。単なる言葉遊びにすぎない。両者の違いは、Ajaxがプル技術であるのに対し、Cometはプッシュ技術だという点だ」と話している。

 Cometは、クライアントがわざわざ要求しなくても、Webサーバがデータをクライアントに配信することを可能にするプログラミング手法。これを利用すれば、ブラウザ内でホストされるイベント駆動型アプリケーションを作成することができる。

 AJAX Experienceカンファレンスの主催者の1社であるAJAXian.comの共同創始者、ベン・ガルブレイス氏によると、Ajaxと今日の技術ベースを利用すれば、デスクトップアプリケーションに匹敵するユーザーエクスペリエンスを開発することが可能だという。一方、「Cometはサーバサイドの状況を変えるだろう」と同氏は話す。

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