ニュース
» 2006年05月16日 07時00分 公開

基幹系にまで適用領域広がりサーバー統合の核として急成長ブレードサーバー市場を俯瞰する--ヒット商品分析

各社のCM合戦の影響もあり、じわじわとユーザーの認知度を高めつつあるブレードサーバー。中堅、中小企業への導入も増加しているという。一体、市場全体はどうなっているのか。導入前の基礎知識として利用していただきたい。

[越後耕一+アイティセレクト編集部,ITmedia]

急成長はしているものの市場規模はまだ小さい

 各種サーバーの乱立とその管理の困難を一挙に打開するものとして期待されているのが、他でもないブレードサーバーである。ブレードというのは、CPU、メモリ、ハードディスクなどコンピュータとして必要な構成要素を1枚のボードに凝縮したものである。それを電源やファン、ケーブルなどを共有し、高密度に実装できるエンクロージャあるいはシャーシなどと呼ばれる筐体に複数枚収納したものがブレードサーバーである。

 したがって、ブレードサーバーにはまず高密度実装によって省スペース化が可能だし、さらにブレードを追加することによって簡単にシステムの拡張が実現できるという大きな特徴がある。それに加えて、複数のサーバーを一元管理できるので運用管理性を向上させることも可能だし、高性能のプロセッサを採用することによって性能も向上し、さらに冗長化や仮想化などの技術により信頼性・可用性も向上している。

 ガートナーデータクエストの調査によると、2005年の国内におけるブレードサーバーの出荷台数は3万台強で、前年比67・4%の成長だという。ちなみに、サーバー全体の出荷台数は前年比14・3%増の58万台強となっている。しかしブレードサーバーの市場は確かに勢いよく拡大してはいるものの、ブレード市場全体に占める割合はまだ5%程度であり、ほんの微々たるものに過ぎない。

ユーザーの認識が変わり裾野が着実に広がる

 当初ブレードサーバーは、膨大な数のサーバーを抱えていたデータセンターや研究機関がメインのターゲットになっていた。しかし、その後一般企業にも導入されるようになってくる。しかも、その適用範囲はデータベースなど基幹系にまで広がってきている。

 日本ヒューレット・パッカードのエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリースタンダードサーバ製品本部ブレード・バリュープロダクトマーケティング部の山中伸吾氏は、「今では普通の企業でも使えるんだというイメージがすっかり定着し、業種に関係なく満遍なく導入されている」と語る。

国内サーバー市場とブレードサーバー市場(資料提供 IDC Japan)

 しかし、実際に市場の急成長を支えているのは、一定規模以上の企業ユーザーだ、と調査会社IDC Japanのサーバーリサーチマネージャー、福冨里志氏は分析する。

 「01年から05年までに出荷されたIAサーバーのうちの半分以上に当たる53%が、従業員数が500人以上の企業に購入されている。今のところ、ブレードサーバーが伸びてきているのは、そういう企業の一部がサーバーを統合するために導入し始めているからだと思う。というのも、ブレードサーバーを導入することによって得られるコスト削減という数字で表せるメリットをはじめ、信頼性や可用性、セキュリティのアップなどという数字に表しにくいメリットをしっかりと理解できるのは、やはり規模の大きい企業になるからだ」

 もっとも福冨氏は、規模の小さい企業でも、ブレードサーバーのメリットを理解できるIT担当者や決済権限者がいる場合は、導入に踏み切るケースもあり得るという。一方、ベンダー各社は異口同音に「今はむしろ中堅・中小企業のお客様の方が増えてきている」と言う。日本アイ・ビー・エムのxSeries & IntelliStation事業部事業企画担当の田口光一氏によると、「自分たちで導入するのはまだ早いという意識を持っていたお客様が最近、積極的に導入するようになってきていて、ユーザーの裾野が広がっていることは間違いない」という。

 福冨氏の見解とベンダー側の発言との間には、若干の温度差が感じられるが、大企業から中堅・中小へとユーザー層が拡大してきていることは紛れもない事実のようだ。

 日本ヒューレット・パッカードは昨年、同社が開催したブレードサーバーのセミナーへの参加者約400人に対して、「ブレードサーバーに何を期待していますか」というアンケートを取った。その結果は「高密度」という答えより、「管理性」という答えが非常に多かったそうだ。

 また、NECのクライアント・サーバ販売推進本部グループマネージャーの浅賀博行氏によると、「最近では、サーバー統合したいからとか、業務系のシステムに使いたいからと言って、お客様の方からブレードサーバーを指定してくるようになったし、また運用性を非常に重視するようになっている」とのことだ。つまり、増えすぎたサーバーをブレードサーバーで統合することにより、より効率的なサーバーの運用管理を実現したいというのが、ユーザーのニーズになっているということだ。

ユーザーの意識は確実に変化してきているようだ。それは高密度実装でサーバールームを効率的に使えるだけではない、大きなメリットが認知されはじめたということになるのだろう。

この記事は現在発売中のアイティセレクト6月号でもご覧になれます。

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ