ニュース
» 2006年05月30日 09時35分 公開

企業コンピューティングから見たWeb 2.0(2)顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編(1/2 ページ)

Web2.0の代名詞的に「ロングテール」という概念が語られることが多い。かつては軽視されていたマイナーなコンテンツの有効活用を考えることが重要だが、インフラストラクチャの観点から言えばそれほど大きな発想の転換は必要とされないだろう。

[栗原 潔,ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「顧客満足度ナンバーワンSEの条件〜新人編」でご覧になれます。


 Web2.0の代名詞的に「ロングテール」という概念が語られることが多い。ロングテールとは売れ筋以外の商品、つまりマイナーな商品による収益が個々には小さくとも合計が売れ筋商品と同等レベルくらいになるという現象を指す。商品の売り上げ順のグラフを作成すると、典型的には売れ筋商品のピークが先頭(ヘッド)にあり、その後ろにマイナーな商品群(数は多いが個々の売り上げは小さい)の長い列が続くグラフが得られる。この後ろの部分がロングテールだ。

 「ちりも積もれば山となる」方式でロングテール部分にもヘッド部分と同程度のビジネス機会があることが明らかになってきたのである。

ロングテールをどう考えるべきか

 ロングテール現象が成り立つ前提条件は2つある。1つは個々の商品を扱うための変動費が小さいことだ。変動費が大きければマイナーな商品で利益率を確保することが難しくなるため、売れ筋商品にフォーカスせざるを得なくなる。もう1つは、買い手にとって魅力のあるマイナーな商品を掘り起こすための機能が存在することだ。典型的な例を挙げれば、アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」機能はロングテールの中から顧客の嗜好にあった商品を探し出すための手段だ。

 ロングテールは主にビジネスモデル上の問題だ。特に、本質的な変動費が極めて小さいデジタルコンテンツの提供ビジネスにとって有効な考え方だ。一般企業においてもロングテール的な考え方を適用することはできる。例えば、企業内の情報活用において、従来はあまり注目されていなかった個人ベースの非公式な情報を有効活用することなどが考えられるだろう。昨今注目を浴びつつあるエンタープライズサーチはこのようなロングテール情報の有効活用に貢献できると考えられる。

Web 2.0のインフラはサーバ中心型

 次にITインフラについて考えてみよう。Web 2.0の考え方は基本的に分散型だ。前回解説した集合知の考え方も、ネット上で分散した不特定多数のユーザーが協力し合って知識ベースを構築するという点で明らかに分散型のパラダイムだ。しかし、このような分散型のパラダイムをサポートするインフラストラクチャは、基本的に集中型が望ましい点に注意が必要だ。

 そもそも、情報システムにおいて論理モデルと物理モデルが同一である必要するにない。Google、eBay、Amazonを始めとする主要なWebビジネスはほぼ例外なく大規模集中型だ。個人と個人の間の自由な情報交換(いわば、論理的なP2P)を実現するために、物理的なインフラまでをP2Pにする必要はないのである。もちろん、BitTorrentのようにP2P型のインフラが、ネットワークの物理的制約を回避する上で有効なケースもある。しかし、常にこれが成り立つわけではない。

「SaaS」も進行

 Web 2.0の世界では、集中化に加えて、ソフトウェアのサービス化、いわゆるSaaS(Software as a Service)も進行している。ここでいう「サービス」とは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)におけるサービス(ソフトウェア部品)とは微妙に意味が違うので注意が必要だ。

 アプリケーションを配布してユーザーサイドでインストールして使うのではなく、サーバ側で実行し、ユーザーはその機能(サービス)だけをネットワーク経由で(典型的にはWebブラウザ経由で)利用するということである。梅田望夫氏の表現を借りれば「こっち側」ではなく「あっち側」中心で処理が進行していくということだ。要するに、サーバ中心型ということである。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ