ミッドレンジストレージでタッグを組むDellとEMCInterview(1/2 ページ)

EMCジャパンは5月30日、ファイバーチャネルストレージのラインアップを一新する「CLARiX CX3 UltraScaleシリーズ」を発表した。EMCのシュワルツGMとデルの桜田エンタープライズマーケティング本部長に話を聞いた。

» 2006年05月31日 12時14分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 EMCジャパンは5月30日、ファイバーチャネルストレージのラインアップを一新する「CLARiX CX3 UltraScaleシリーズ」を発表した。CLARiX CX3は、「Dell|EMC」ブランドとしても提供されているCXシリーズの「第3世代」に当たるミッドレンジアレイ。4Gbpsのファイバーチャネル接続をホストからスイッチ、ドライブに至るまでエンドツーエンドで実現する新しいアーキテクチャー「UltraScale」を採用し、ストレージ容量も従来シリーズの約2倍、239Tバイトまで拡張できるという。CLARiX製品が買収によってEMC傘下に入る以前の旧データジェネラル時代から、同製品の事業を率いてきたEMCのジョエル・シュワルツGMとデルでエンタープライズマーケティング本部長を務める桜田仁隆氏に話を聞いた。

EMCのシュワルツGM(右)とデルの桜田マーケティング本部長

ITmedia シュワルツさんは、長きにわたってCLARiXにかかわってきたと聞いています。CX製品が生まれた背景を教えてください。

シュワルツ わたしはデータジェネラルで2年、EMCで6年、つまり合計8年にわたって、CLARiXの事業を率いてきました。

 EMCは1999年、データジェネラルを買収し、ミッドレンジのCLARiX製品ラインを手に入れたのですが、当時のEMCはハイエンド製品であるSymmetrixが大きな成功を収めており、上層部の一部には「CLARiXは必要なのか?」という否定的な意見もありました。

 しかし、2001年にITバブルが消失すると、企業のIT予算は削減され、市場はオルタナティブとしてミッドレンジ製品に着目することになり、EMCとしても、2000年から2002年にかけて、CLARiX製品に対して積極的な開発投資を行いました。それによって2002年第4四半期に生まれたのが新しい世代のミッドレンジストレージ、CXシリーズでした。

 CXシリーズは、うまく3つの条件が整ったときに生まれました。市場機会に恵まれ、EMCが投資を行い、そして、Dellとのパートナーシップによって「Dell|EMC」ブランドとしても世に出たことです。EMC全体の売り上げに占めるCLARiX製品のそれは、2002年の5%から2005年は20%へと拡大、金額にすると5億ドルから18億ドルへと成長しています。IDCが調べたミッドレンジアレイの市場シェアでは、Hewlett-Packard(HP)の25%に対してCLARiXブランドとDell|EMCブランドの合計は35%に達しています。

プライスパフォーマンス

ITmedia 成功を収めているCXシリーズの最大の特徴は何でしょうか。

シュワルツ ミッドレンジ製品において最も重きが置かれるのは、プライスパフォーマンスです。これがCLARiX CX(Dell|EMC CX)シリーズの最大の強みです。

 データベースのオンライントランザクション性能を比較した場合、2年前の製品であるCLARiX CX 700ですら、IBMやHPといった競合がわずか半年前に投入したミッドレンジ製品の上位機よりもはるかに優れています。新しいアーキテクチャー「UltraScale」を採用した「CX3シリーズ」では、なおさらです。彼らが性能を2倍に引き上げたとしても追いつくことはできません。ましてや、われわれも研究開発の手を緩めることはありません。

桜田 デルの顧客が購入するサーバの多くの2ソケットの製品です。したがって、プライスパフォーマンスは大きな訴求ポイントとなります。市場の要件に合致しているといえます。

コンソリデーションと仮想化

ITmedia 日本の企業顧客も、ストレージを手始めに「コンソリデーション」に着手しつつあると聞いています。そうしたニーズにも新しいCX3シリーズはこたえることができますか。

桜田 コンソリデーションすることによって、必然的に容量は拡大するため、それを高速で処理するパフォーマンスが欠かせなくなります。Dell|EMC(CLARiX)CX3シリーズは、容量を2倍に引き上げ、パフォーマンスも強化しています。

 また、コンソリデーションと同時に、運用面でカギを握る「仮想化」というニーズが生まれてきます。ここでは、EMC傘下のVMwareと協力しています。これまでにもVMware製品を提供することで一緒に顧客のニーズにこたえてきましたが、近く日本市場でもOEMに踏み切る予定です。

シュワルツ 新しいアーキテクチャー「UltraScale」では、4Gbps、2Gbps、さらに低速という3種類のファイバーチャネル接続のドライブを同じアレイに共存させ、データの価値に応じて階層間を自動的に移動させることができる「仮想LUNテクノロジー」を盛り込んでいます。オンライン処理のデータは高速ディスクの階層に、電子メールの古いメッセージは低速かつ安価なディスクの階層に移すといったことが自動化でき、しかもアプリケーションからは透過的に見えます。

桜田 データを統合した場合、こうした階層型ストレージの考え方は必要になります。容量の増加とパフォーマンスの強化、そしてそれらを支える信頼性とともに、仮想LUNテクノロジーの柔軟性によって、さまざまなアプリケーションのデータを統合していく技術的基盤が整ったといえるでしょう。

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