GPS受信機をバンドルしたMapPointの見えない立ち位置

Microsoftのビジネス向け地図ソフトウェアの新版「MapPoint 2006」には、新しい地図データと位置特定機能が含まれる。一方で、Webサービス版の「MapPoint Web Service」は「Virtual Earth」への移行が着実に進んでおり、MapPoint製品の将来は不透明だ。

[Matt Rosoff，Directions on Microsoft]

　Microsoftのビジネス向け地図ソフトウェアのアップデート版「MapPoint 2006」が現在、米国で提供されている。欧州版は2006年夏に提供される予定だ。また、Webサービス版の「MapPoint Web Service」は新しい「Virtual Earth」プラットフォームへの移行が進められている。

　MapPointクライアントはこれまで、住所の特定や地図データの視覚化／分析（販売地域ごとの売上など）を必要とするモバイルワーカーならびにOfficeユーザーをターゲットとしてきた。MapPoint 2006には、新しい地図データが含まれるほか、モバイルワーカー向けの各種の改善が施されている。例えば、特定の地域のWi-Fiホットスポットをベースとした位置特定、音声ベースのドライブ経路案内のほか、GPS受信機をバンドルした新しいエディションも提供される。だが、これまでのバージョンと同様、MapPointクライアントの地理データは静的で、同クライアントはMapPoint Web Serviceや新しいVirtual Earthプラットフォームとは連携されない。また、特に欧州の地図データを中心に一部の地図データが更新されている一方で、カナダの人口統計学情報など、削除された情報もある。

　アップデート版のリリースにもかかわらず、MapPoint製品の将来は不透明だ。MapPointクライアントには、地図データを表示／分析するための高度な機能が幾つか含まれるが、位置特定や音声ベースのドライブ経路案内は、Microsoftがコンシューマー向けに提供している廉価版の地図ソフト「Streets and Trips」でも提供されている。また、無料のWebサイト「Windows Live Local」には、MicrosoftのVirtual Earthプラットフォームから最新データが定期的に提供され、1年に何回かの頻度で機能も更新されている。これは、MapPointソフトウェアよりもはるかに頻繁な更新頻度だ。

　一方、MicrosoftはMapPoint Web Serviceを新しいVirtual Earthプラットフォームに移行させる方針だ。企業顧客やISVは現在、MapPoint Web Serviceにより、WebサービスAPIを介して自分たちのアプリケーションに地図データを組み込める。Virtual Earthプラットフォームには、より多くの関心地点（POI：Point of Interest）と独自の視覚機能（衛星写真や上空写真など）が含まれ、今後も順次、ユーザー同士で地図情報を共有する機能など、各種機能が追加される見通しだ（Windows Live LocalはVirtual Earthプラットフォームをベースとしている）。Microsoftは今後もMapPoint Web Serviceの顧客サポートを継続し、現行のMapPoint Web Serviceと同じWebサービスAPIを介してVirtual Earthにアクセスできるようにする方針という。

　MapPoint 2006クライアントの米国版は299ドルで小売販売されている。GPS受信機をバンドルしたバージョンは349ドル。欧州版は今夏にリリースされる。