マルチプロセッサ環境でBIND9の性能向上を実現――WIDEとISC、東芝が共同研究

WIDEプロジェクトと米Internet Systems Consortium(ISC)は東芝とともに、DNSサーバ「BIND9」の性能を向上させ、最大2.1倍に引き上げる研究プロジェクトを完了した。

» 2006年06月16日 15時08分 公開
[ITmedia]

 WIDEプロジェクトと米Internet Systems Consortium(ISC)は6月16日、東芝との共同研究によりDNSサーバ「BIND9」の性能を向上させ、最大2.1倍に引き上げるプロジェクトを完了したことを発表した。

 BIND(Berkeley Internet Name Domain)は、インターネットの基本的なサービスであるDNSサーバの中でも最も広く利用されている実装で、オープンソースとして公開されている。BIND9はその次世代バージョンで、IPv6対応のほか、ゾーン情報の改ざんを防止するDNSSECなどもサポートされている。

 今回の研究プロジェクトでは、サーバ上のメモリ領域をスレッド単位に分割することで、各スレッドが最大限に並列して実行できるようアーキテクチャを変更。併せてサーバのデータベース構造を抜本的に見直し、スレッド間の衝突が起こりにくくなるよう改良した。これまでマルチプロセッサ環境における性能が不十分とされていたBIND9だが、これらの改良により、応答速度は最大2.1倍に向上したという。

 今回の研究ではさらに、ゾーン情報の構造にも最適化を加えた。これにより、膨大なドメイン数を扱うケースでも迅速にサーバを起動できるようになり、より高い可用性を実現できるという。

 なおこの研究成果をまとめた論文はUSENIXカンファレンスに採択されたほか、6月19日に行われる総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)成果発表会で報告される予定だ。

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