4つの代替オペレーティングシステムSuper Review

Ubuntu、SUSE、LinspireといったLinuxディストリビューションがデスクトップ市場で躍進しているが、一味違ったものを試したいなら、あまり知られていない発展途上にある代替のオペレーティングシステムを探し出すことができる。

» 2006年06月19日 09時46分 公開
[Tim-Miller,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 Ubuntu、SUSE、LinspireといったLinuxディストリビューションがデスクトップ市場で躍進しているが、一味違ったものを試したいなら、あまり知られていない代替のオペレーティングシステムを探し出すことができる。これらのOSは、安定性やハードウェアサポートの面で不足があるかもしれないが、それぞれ独特の概念を打ち出している。

SkyOS

 1996年の着手以来、今もまだβ版のSkyOSは、もともとロバート・ゼレニー氏一人の手で開発が進められてきた。この独自仕様OSには、シンメトリックマルチプロセッシング(SMP)、統合されたメディアサブシステム、クラッシュ時にパーティションの回復が可能なジャーナリングされた64ビットファイルシステムなど、数多くの魅力がある。対応アプリケーションが限られているとはいえ、SkyOSにはMozilla FirefoxおよびThunderbird、AbiWord、Gaim、Nvu、Pixelなどが用意されている。アプリケーション・ソフトウェアのインストールは、SkyOS Software Storeを使って簡単に行うことができ、マウスを数回クリックするだけで済む。

 SkyOSには、LinuxのBeagleやMac OS XのSpotlightによく似た、複数キーワードに対応していてリアルタイムにファイルの中身を検索できる機能もある。参照を容易にするため、ファイルとプログラムはインデキシング(索引付け)が行われている。また、システム全体にわたって使えるマウスジェスチャー機能、Windows Media Video(WMV)やMP3など複数のコーデックに対応しているffmpegを利用したメディアプレーヤー・アプリケーションもサポートされている。

 欠点は、サポートされているハードウェアが非常に限られていることである(ただし、VMware上でSkyOSを実行すれば、グラフィックスカード、サウンド、ネットワーク処理に対するネイティブOSのサポートが得られる)。SkyOSで動作するネットワークカードやサウンドカードは少なく、2Dアクセラレーションが機能するグラフィックスカードもごくわずかだ。

 サポートされているハードウェアが手元にあれば、30ドルでβプログラムに参加できる。ただし、オペレーティングシステムに安定性を求めるなら、最初の正式版がリリースされるまで待った方がいいだろう

Haiku

 2001年にBe Inc.の資産がPalmに買収された後、BeOS愛好家のあるグループがOpenBeOSプロジェクトを立ち上げた。BeOS 5と下位互換の(MITライセンスによる)オープンソース・オペレーティングシステムを開発するプロジェクトだ。現在はHaikuと呼ばれ、創設以来、なかなかの進展を見せている。一部のゲームのほか、Mozilla FirefoxやSeaMonkeyなど、多数のプログラムをHaiku上で実行できる。

ブートやアプリケーションのロードの時間が短くてよいのだが、サポートされているネットワークアダプタは限られている。また、Haikuをインストールするには、BeOSまたはZetaをインストールする必要があり、Haikuのファイルを移行させるために、追加のBeOSパーティションも必要になる。

Syllable

 今は亡きAtheOSから派生して2002年に開発されたSyllableは、GPLライセンスによるオープンソースのデスクトップOSである。ハードウェア要件はあまり高くなく、ブートにかかる時間はわずかだ。アプリケーションソフトウェアの選択肢は少ないが、各種のWebブラウザ、電子メールプログラム、ゲームのほか、メディアプレーヤーも1種類ある。こうしたソフトウェアの多くをインストールするには、アーカイブからバイナリファイルを取り出すだけでよい。また、Syllableは64ビットファイルシステムであるAtheOS File System(AFS)に対応している。

 ハードウェアサポートが十分とはいえず、インストーラがテキストベースで分かりづらいものなので、Syllableのインストールは、場合によっては危険かもしれない。ただし、ここに挙げる4つのOSのうち、セカンダリーOSとしての利用に最も適しているのが、このSyllable だ。

Visopsys

 Visopsys(Visual Operating System)は、1997年から開発が続いている、GPLおよびLGPLのオープンソースOSである。ただし、VisopsysをデスクトップOSとして実行しようと考えているなら、考え直した方がいいかもしれない。もともとはアンディ・マクラフリン氏が開発したホビーOSとしての傾向が強いからだ。Visopsysは、ここに挙げたほかのOSよりも、利用できるアプリケーションやサポートされているハードウェアが少ない。

 Visopsysは、最善のデスクトップOSとはいえないかもしれないが、1つ素晴らしい使い方ができる。SymantecのPartition Magicのようなパーティションマネジャーであり、フリーソフトウェアでオープンソースのPartition Logicが、 Visopsys上で動作するのだ。事実、このPartition LogicとPartition Magicは同じ作者が開発している。Partition Logicは、Partition Magicと同じ動作をするので、同等に素晴らしい機能を備えたフリーソフトウェアという点で値打ちがある。

 ここでは、発展途上にある代替オペレーティングシステムを4つ取り上げた。ハードウェアサポートの充実度、インストールと使い方の容易さといった面では不満が残るものの、そのアイデアと構想は、従来のOSとは一線を画している。LinuxやWindows、それにMac OS XがOSの定番になっている世界で、そのほかのOSが存在を主張し、ほかと違った試みをするのは素晴らしいことだ。

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