統合ディレクトリで3カ月に1度の人事異動に対応――リクルートエージェント今、見直されるアイデンティティ管理(1/3 ページ)

リクルートエージェントは、統合ID基盤の構築に向け、3カ年計画で社内環境を整備中だ。従業員情報を一元管理するため、メタディレクトリを構築、LDAP対応の各種サブシステムとの連携を検証中だという。

» 2006年06月30日 07時30分 公開
[井上猛雄,ITmedia]

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 リクルートエージェントは、リクルートグループの中核を担う転職エージェント(人材紹介会社)である。ワン・ツー・ワンのコンサルティングによって、個人の転職ニーズと企業の求人ニーズを最適な形でマッチングさせ、年間1万9678人(2005年度実績)もの高い転職決定実績を誇る。同社の基幹業務システムには数十万人以上の人材データが蓄積され、それらの保護を堅牢にするためにセキュリティ技術の採用にも積極的だ。

統合ID基盤で複雑な社内サブシステムを一元化

 社員数は年々増加する傾向にあり、現在、社員が1146名、派遣社員などを含めると約1700名ほどの従業員が働いている。同社の石津広也氏(事業戦略支援ユニット コンプライアンスオフィス 情報セキュリティ室)は、「企業規模からすると、アカウント統合をする必要性はあまりないように思われるが、大規模な人材採用計画があり、またその一方で、社内において使用されるサブシステムもかなり多く、今後の人員増強を見越した形でしっかりアカウント管理を行う必要があった」とID管理基盤を構築した経緯について振り返る。

事業戦略支援ユニットコンプライアンスオフィス情報セキュリティ室の石津広也氏

 同社では、転職希望者と求人企業の組み合わせを最適化するためのシステムやサービスが稼働しており、これらに関連する複数のサブシステムが利用されている。主なものでも10基以上のサブシステムがあり、アカウントを個別に管理している状況だった。そこで、これらを適正に管理できるような統合ID基盤を構築することにしたという。

 統合ID基盤の構築に着手したのは2005年のこと。SIerとしてシステムの構築を手がけたグローバルセキュリティエキスパート(GSX)は、主にセキュリティやシステム・業務監査に関するコンサルティングを行っており、リクルートエージェントがPマークを更新する際の監査を担当するなど、数年前から取引があった。GSXの宮川晃一氏(ソリューション事業部長エグゼクティブコンサルタント)は、「以前からリクルートエージェントの社内システムを監査していたため、今回の構築に関して改めて詳しいヒアリングをする必要がなかった。リクルートエージェントの複雑なシステムについても事前に理解していたため、プロジェクトの立ち上がりも早かった」と話す。

GSX ソリューション事業部長エグゼクティブコンサルタントの宮川晃一氏
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