対策不備は会社の信用問題。Windowsセキュリティアップデート術良い管理者 悪い管理者 普通の管理者(3/6 ページ)

» 2006年07月07日 08時00分 公開
[木村尚義,ITmedia]

今回の管理者:山本一郎(映画配給会社勤務)


 山本一郎は、映画配給会社の湊映像で10年前から版権データベースを構築している。専任ではなく、他の仕事を兼任しているため多忙を極めている。湊映像は、世界中のマイナーな映画放映権を、テレビ局やケーブルテレビに配給している会社である。以前はお昼の映画劇場や深夜番組でかなりの引き合いがあり、湊映像はテレビ局から大変重宝されていた。しかし、テレビ局が自分の版権で懐かしの連続ドラマの再放送を始めたため、引き合いが少なくなってしまった。

 主な収入はケーブルテレビでの配給であるが、これで経営が安泰というほどの利益が出るところまでには至らなかった。たまに大きな収入があり息継ぎできることもある。それは、テレビ局でスポーツ中継が天候不順で中止されたときに代替で放映される映像である。代替映像は、一度放映されれば数カ月は安泰なのだが、放映したときにしか権利が発生しない契約を交わしているので、いつも資金繰りには苦労しているありさまである。そのため、給料も滞ることが多く、100名近くいた社員も次々と去って、5 年前は本当に映画好きな、山本一郎をはじめとする10 名程度を残すのみとなってしまった。

 そろそろ廃業かと思われた寸前のところで幸運が舞い降りた。韓国映画が韓流ブームで売れに売れたのだ。幸運が重なり、ISP も湊映像の配給映画をストリーミングで流すようになった。湊映像は複雑な版権を管理できる数少ない企業となった。独占に近い企業になった湊映像は、借金をすべて返し終えただけでなく、自社ビルさえ買えそうな利益が出てしまった。人員もかつての規模に近づきつつあるが、複雑な版権の契約を、急増した社員にも対処できるようにシステム化する必要があった。

 そんなおり、ようやく山本一郎は複雑な放映権のデータベース化に成功したのだ。


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