テープドライブ編ハードウェアソリューション導入計画(2/3 ページ)

» 2006年07月10日 08時00分 公開
[吉森ゆき/大神企画,ITmedia]

PART 2 テープドライブとメディアの種類

テープドライブ2つのタイプ

 テープドライブは、テープとヘッドの構造によって2つの方式に分けられる。

 1つはヘッドを固定してテープを巻きながら読み書きする「固定ヘッド方式」、もう1つは回転するドラム型のヘッドにテープを沿わせて読み書きする「回転ヘッド方式」だ。

 固定ヘッド方式は、テープに直線的に記録されるので「リニアレコーディング方式」とも呼ばれている。代表的なのがオーディオテープで、古くから存在するシンプルな構造である。一方の回転ヘッド方式は、テープの表面をヘッドがらせん状に走行して記録するので「ヘリカルスキャン方式」とも呼ばれている。こちらはVHSのようなビデオテープで採用されている。

 固定ヘッド方式では、大容量データを速く記録するためにテープの回転速度を向上させる必要があった。しかし、回転速度の向上には限界がある。そのため、テープとともにヘッドを高速回転させることで容量と性能を向上させたのが回転ヘッド方式だった。

 しかし、回転ヘッド方式は、高速回転するヘッドに対し、カートリッジからテープを引き出して巻きつけるという複雑な構造が必要であり、技術的な課題も多い。そこで最近ではシンプルな固定ヘッド方式の構造が見直され、テープの回転速度を上げずに高密度化したり、トラック幅を狭めて同時に書き込めるトラック数を増やしたりすることで大容量化、高速化が図られている。

再び注目される固定ヘッド方式

 固定ヘッド方式の代表的なものには、「DLT(DigitalLinear Tape)」「SLR(Scalable Linear Recording)」「LTO(Linear Tape Open)」など、回転ヘッド方式には「8mm」「DDS(Digital Data Storage)」「AIT(Advanced Intelligence Tape)」などがある。 ここで、代表的なテープの規格をいくつか紹介しよう。

 DLTは、旧ディジタルイクイップメント(旧コンパック、現在のヒューレット・パッカード)が原型を開発し、クアンタムが製品化して販売したもの。現在は、次世代のDLTとして、レーザー記事記録方式による「SDLT(Super Digital Linear Tape)」の開発も同時に進んでいる。また、DLT技術をベースにした「DLT1(Digital Linear Tape-1)」もある。これは、DLT4000ドライブ技術をベースにし、DLT4000ドライブで記録されたテープの上位互換性を持つ。

 LTOは、ヒューレット・パッカード、IBM、シーゲートの3社が共同開発し、標準規格化された規格だ。シングルリールカートリッジで大容量を実現した「Ultrium」、デュアルリールカートリッジを採用した「Accelis」の2種類のフォーマットがある。

 AITは、ソニーがビデオカメラ用の8mmテープをデータ用に改良したもの。DLTやLTOと比べてカートリッジが小さいことが特徴になっている。

PART3 テープドライブの選び方

必要なデータ容量をチェック

 上記のように、いくつもの規格が存在するテープドライブだが、どんなポイントに注意して製品を選べばよいだろうか。

 まずは、バックアップするデータの容量を把握することだ。テープはそれぞれの規格とその世代によって記憶容量が大きく異なる。そのため、データ容量に最適な規格のテープドライブを選ぶことが何よりも重要だ。また、テープドライブには基本的なシングルカートリッジの製品と、オートローダ機能を備えたライブラリ装置がある。例えば、曜日ごとの世代管理をしながらバッチ処理で大容量データをバックアップするニーズには、こうしたライブラリ装置のほうが適している。

読み書き速度と互換性も忘れず確認

 データの読み書き速度も重要なチェックポイントだ。これは、バックアップ時間がどれだけ取れるかも重要な基準になる。短時間のうちに大容量データをバックアップしなければならないなど、自社のニーズに最適なテープドライブを選択する必要がある。

 また、過去のバックアップ資産がある場合、互換性を考慮することも大切だ。メディアの規格は基本的に互換性を維持しているので、過去のバックアップ資産を取り出す必要があるならば、過去に使用していた規格の最新フォーマットに対応した製品を選ぶとよいだろう。

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