Googleの侵食に先手、SharePointを主軸にエンタープライズ検索を刷新(2/4 ページ)

» 2006年07月11日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 ただし、Microsoftが提供する検索ツールのあまりの多さから、どの用途でどの検索ツールを使用すればよいかユーザーやリセラーが頭を悩ます結果となっている。また、各製品に実装されるMS Searchのバージョンは必ずしも同じではないため、使用するアプリケーションによって検索結果が異なる場合がある。この状況をさらに複雑にしているのは、大幅に強化された検索機能を誇るWindows Vistaが間もなくリリースされることだ。また、Microsoftはインターネット検索エンジンの開発と強化に力を入れているが、インターネット検索とエンタープライズ検索とではメカニズムが非常に異なるため基盤とするテクノロジーが異なることや、名称設定が不適切な場合があることもこの状況に拍車をかけている。

2007年に予定されている変更の内容

 2007年は、以下のようなエンタープライズ検索製品に影響する変更が予定されている。

  • Microsoftのデスクトップアプリケーション(Officeアプリケーションなど)は、MS Searchの共有バージョンを基盤のインデックステクノロジーとして使用する。このバージョンのMS Searchは、Windows Vistaに搭載され、Windows XP向けにも提供される予定である。
  • 新しいデスクトップクライアントWindows Live Search for the Desktop(仮称)では、ユーザーのPC、ネットワークリソース、インターネットからの検索結果を統合する。
  • SharePoint Server 2007(SharePoint Portal Serverの次期バージョン)では、ネットワークリソースの検索機能が強化される。また、ポータルプラットフォームとしてではなく、エンタープライズ検索ソリューションとしてSharePointの導入を希望する企業向けに価格を抑えたエディションも用意される予定だ。

 Microsoftはこれらの変更をもって、エンタープライズ検索市場での競争力を高めると同時に、Googleのエンタープライズ分野への進出拡大阻止を図っている。Googleは検索アプライアンス事業の成功を足がかりに、例えば地理データの処理および参照機能を提供するGoogle Earthのエンタープライズ版といったほかのサービスを新たに売り出すことが考えられる。また上記の変更が実施されれば、Vistaで導入されるビジネス志向の機能の1つをプロモートすることもでき、特にフルバージョンのSharePointを必要としない小規模企業でのSharePointの売上促進につながる可能性がある。

デスクトップOSに組み込まれる検索エンジン

 現在は各Microsoftの製品チームが独自のバージョンのMS Searchエンジンを担当製品に組み込むことができるため、製品間で検索結果の質に大きなばらつきが見られる。しかし、2007年はじめにWindows Vistaがリリースされた後は、この状況は変わってくるだろう。

 例えば、Outlook 2003はWindows XPの検索機能またはExchangeのフルテキスト検索機能を使用できる。Windows XPとExchangeに実装されているMS Searchは、2001年にリリースされたバージョンである。Outlookデータの検索は、2004年夏にMSNサーチツールバーと呼ばれるβ製品に組み込まれてリリースされたWindowsデスクトップサーチ(WDS)からも実行できる。WDSにはより新しいバージョンのMS Searchが組み込まれているため、検索精度が上がり、パフォーマンスも向上している。しかし、WDSの初期バージョンは、企業での使用には適していなかった(例えば、System Management Serverを使った展開やグループポリシーによる制御を行うことができなかった)。したがって、Outlookデータの検索を行う場合は、機能的に劣るOutlookからの検索に甘んじるか、(社のポリシーで認められていることが前提になるが)コンシューマー向けの検索ツールを別途ダウンロードしてインストールする必要があった。

 Vistaのリリース後は、Outlook 2007、OneNote 2007、および新たにリリースされるWindows Live Searchクライアントなど、検索機能を備えるMicrosoftのデスクトップアプリケーションはすべて、Vistaに組み込まれた最新のMS Searchを利用することになる。Vistaより古いOSでアプリケーションからの検索を実現するには、WDSをインストールしてWDSに搭載されているMS Searchエンジンのインスタンスを利用できるようにする必要がある。どのような形でMS Searchエンジンが展開されていても、MS Searchの更新プログラムはWindows Updateから提供される予定だ。これにより、すべてのMicrosoftデスクトップアプリケーションで同質の検索結果が得られるようになるほか、同じコンピュータ上で複数の検索インデックスを作成、更新、アクセスする必要がないためパフォーマンスを向上できる。また、MS Searchの最新バージョンをリリースする必要はなく、各製品チームは単純に基盤となる共通の検索エンジンを利用できるため、Microsoftは開発コストも削減できる。

Copyright(C) 2007, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc. All right reserved. No part of this magazine may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted in any form or by any means without prior written permission. ISSN 1077-4394. Redmond Communications Inc. is an independent publisher and is in no way affiliated with or endorsed by Microsoft Corporation. Directions on Microsoft reviews and analyzes industry news based on information obtained from sources generally available to the public and from industry contacts. While we consider these sources to be reliable, we cannot guarantee their accuracy. Readers assume full responsibility for any use made of the information contained herein. Throughout this magazine, trademark names are used. Rather than place a trademark symbol at every occurrence, we hereby state that we are using the names only in an editorial fashion with no intention of infringement of the trademark.

注目のテーマ