IPネットワークにストレージのデータを流す――IP-SANを実現するiSCSIのテクノロジファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線(1/3 ページ)

SANの接続にはファイバチャネルが一般的に使われるが、光ファイバを利用するため、コストなどの面で問題がある。この問題を解決するのがIPネットワークを利用するIP-SANだ。このIP-SANを実現するiSCSIとはどんなものなのだろうか。

» 2006年07月21日 08時00分 公開
[ITmedia]

IP-SANを実現するテクノロジ

 IP-SANを実現するテクノロジには、FCIP(Fibre Channel over IP)、iFCP(Internet Fibre Channel Protocol)、iSCSIという3つの種類がある。このうち、FCIPとiFCPは、すでに構築されているFC-SANを補完するために用いられる技術であり、FC-SANの代替としてファイバチャネルを利用しない低コストSANを構築する場合に用いられるのがiSCSIだ。IP-SANはiSCSIの代名詞として利用されることもある。

 FCIPは、旧ルーセント・テクノロジー(現アルカテル)が中心となって開発したもの。ファイバチャネルの機能を最大限に利用しつつ、IPネットワークを利用することで伝送距離を伸ばそうというものだ。IPネットワークは、独立した複数のFC-SANを接続するトンネリングとしてのみ利用し、IPトンネルにより相互接続されたFC-SANは、仮想的に大きなFC-SANとしてストレージを構成できる(図1)。IPネットワークとファイバチャネルとの接続は、ギガビットイーサネットを搭載したFCスイッチを用いる。

図1 FCIPでは、複数のFC-SANをIPネットワークで接続して仮想的に1つのSANを構成する

 iFCPは、旧ニシャンシステムズ(現マックデータ)が提唱したもの。FCIPでは、トンネリングによってファイバチャネルフレームをそのまま使って相互接続するが、iFCPはFCのアドレスとIPアドレスをマッピングしてルーティングを行うIPファブリックを利用する。それぞれのFC-SANは独立して管理される。

図2 iFCPは複数のSANをIPネットワークで接続し、それぞれは独立したSANとして管理する

 iSCSIは、シスコやIBMが中心となって開発したもので、イーサネット上のIPパケットにSCSIコマンドを包み込み、ストレージに直接送るプロトコルだ。伝送媒体がファイバチャネルからIPネットワークに代わったと考えればよい(図3)。アプリケーションはiSCSIを意識せず、ローカルのストレージにアクセスするようにストレージにアクセスできる。ディスクの読み書きは、ローカルストレージやFC-SANと同じくブロック単位で扱われる。前回簡単に説明したようなパフォーマンスや管理面などIP-SANの特徴は、そのままiSCSIの特徴でもある。

図3 iSCSIはストレージの接続にIPネットワークを使う。IPネットワーク上でSANを実現するのはこの方式になる

 iSCSIは、IETF(Internet Engineering Task Force)のIPストレージワーキンググループで行われ、SNIA(Storage Network Industry Association)のIPストレージフォーラムがiSCSIの標準化のサポートと普及活動を行っている。

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