関心と認識の高まりに連れて、市場は急速に拡大中ヒット商品分析:アイデンティティ管理ソリューション1(2/2 ページ)

» 2006年07月21日 16時01分 公開
[越後耕一,アイティセレクト]
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大規模案件続出の予感。抱括的なサービスをアピール

 ID管理とアクセス管理の統合を実現するためのインフラとして、マイクロソフトが提供しているのがWindows ServerのActive Directoryである。サーバープラットフォームビジネス本部プロダクトグループ コア・インフラストラクチャ シニアプロダクトマネージャ・長谷川裕昭氏はこう語る。「日本の企業では、統一したID管理基盤がないために、システムごとにばらばらにID管理が行われている場合が多い。そのために、監査を掛ける場合でもシステム単位で行わざるを得ないのが現状だ。それなら、全社的にまとめて監査するための土台を無償で提供するので、IDの一元管理を実現し、コンプライアンスも含めて業務の統制や内部統制をしっかりと行ってください、と提唱している」

 そのために、同社の製品は基本的には全てActive Directoryの上でしっかり管理できるようになっている。と同時に、Active Directoryはアイデンティティ・アクセス管理への段階的な取り組みも可能にする。Active Directoryによる統合ドメインを構築する標準化レベルから、グループポリシーによるユーザー/PCの自動管理とリモートアクセス認証のActive Directoryへの統合を実現する合理化レベル、MISS(Microsoft Identity Integration Server)による異種ディレクトリ統合とADFS(Active Directoryフェデレーションサービス)による企業間フェデレーションを実現する動的レベルへとステップアップできるのである。

 しかも、Active Directoryの活用によって、たとえば国内に本社、工場、営業所の3拠点を構え、従業員が250人、PC保有台数が150台のメーカーの場合では、3年間で約2900万円のセキュリティ対策費を削減できるとしている。

 「プラスアルファの予算を必要とせずにセキュリティ対策が取れるので、何処から手を付けようかと思っている企業が、Active Directoryを積極的に使うようになってきている。ただし、まだセキュリティ意識の低い企業が多いので、これからもっと使っていただけるように努力し、アイデンティティ・アクセス管理をActive Directory一色に染めたいと思っている」と長谷川氏は意欲満々だ。

メタディレクトリでアイデンティティを統合する

 ID管理は今や、セキュリティ対策の基本になっているが、メタディレクトリによるアイデンティティ統合を実現する製品を初めて市場に投入したのがノベルである。同社では「ID管理は企業内システムの基盤であるべきだ」との考えの下に、さまざまなディレクトリを統合している。

 「それぞれのシステムが持っているディレクトリを統合し、その中でIDやパスワードを集中的に管理し、ポリシーベースでサブシステムと自動的に連携するようになっているので、不正アクセスそのものができないようになっています」と営業本部Identityソリューショングループ、グループマネージャー・工藤哲也氏は強調する。

 もちろん、連携するシステムとの間ではユーザー情報が双方向でリアルタイムに同期化されるので、常に最新の情報が共有される。従って、「管理者はアカウントを作るという単純作業をしなくてもいいし、ミスもなくなるので、管理コストを大幅に削減することができる」とマーケティング本部パートナーアライアンスマネージャー・飯田敏樹氏は力説する。また、ログに電子証明が付けられるので、「内部統制や日本版SOX法への対応もきちんとできる」とも言う。同社では7月に新製品「Novell Identity Manager 3(IDM3)」を発売するが、「昨年あたりから引き合いが多く、件数的には5倍くらいに増えている」と飯田氏は語る。

 オープンスタンダードに準拠したマルチプラットフォームなので、OSを選ばない。従って、「ユーザーのニーズに応じてウィンドウズで提案したり、UNIXで提案したりすることができるし、また、2社が合併したりしたときでも、中核のメタディレクトリにサブシステムのディレクトリを繋ぐだけで、全部のシステムを結合することができるという利点もある」と工藤氏。また、国内でトップの導入実績があること、コンサルテーションも含めた導入に関する方法論を持っていること、製品自体の高い完成度などをアドバンテージとして挙げる。

 「ID管理はIT部門だけでなく、総務や人事も巻き込んだ全社プロジェクトです。将来像を描いた上で、できるところからやっていきましょうと話している」と工藤氏は語る。日本版SOX法の施行までに何とかしたいと考えている企業は多いだろうが、急ぎすぎるのは禁物のようだ。

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