第3回:エンタープライズに必要なミドルウェア提供の状況を探るエンタープライズLinuxの実力(2/4 ページ)

» 2006年07月25日 08時00分 公開
[松井一朗,ITmedia]

可用性を強化するクラスタリングパッケージ

 システムの可用性を高める手法として、クラスタリングがある。Windows ServerではMSCS(Microsoft Cluster Service)がOSのサービスとして提供されているが、Linuxの場合はそれがない。そのために、ディストリビュータ各社が別パッケージとして提供している場合が多い。

 レッドハットは、Red Hat Enterprise Linux向けに「Red Hat Cluster Suite」というパッケージを提供している。ここには、フェイルオーバーによるクラスタリングを実現する「Cluster Manager」、ネットワークのリクエストをロードバランスする「IP Load Balancing」という2つの機能が含まれている。

 ミラクル・リナックスとターボリナックスは、それぞれNECのクラスタリングソフトウェア「CLU STERPRO」をOEM調達し、「MIRACLE CLUSTERPRO」「Turbolinux Cluster HA 3.1」というパッケージで提供している。いずれも、複数のLinuxサーバに共有ディスクを相互接続する「SE」と、2台のサーバ間でミラーリングを行う「LE」というデータ共有方法が異なる2つのパッケージを用意する(図2)。

図2 CLUSTERPROによる2つのフェイルオーバークラスタリング方式

 ノベルの場合、スチールアイとのグローバルなパートナー関係により、クラスタリングソフトウェア「LifeKeeper」をSUSE LINUX Enterprise Server 9で正式サポートすることで対応している。

統合認証環境を視野に入れたディレクトリサービス

 各ディストリビュータが力を注いで取り組んでいるのが、ディレクトリサービスだ。この分野では、NetWareの時代からディレクトリシステムを手がけてきたノベルが豊富なソリューションを提供している。代表的なパッケージがLDAPサーバ「eDirectory」である。このパッケージはLinuxに依存するわけではなく、Windows、HP-UXやSolaris、AIXなどの各種UNIXもサポートし、ディレクトリサービスだけでなく、アイデンティティマネジメントの基盤としての機能も広く備える。また、NetWareの機能をSUSE LINUX Enterprise Serverに移植したOpen Enterprise Serverにも、ディレクトリサービスが統合されている(画面1)。

画面1 ディレクトリサービスが統合されたノベルのOpen Enterprise Serverの管理画面

 レッドハットは2004年、アメリカオンライン(AOL)より「Netscape Enterprise Suite」に含まれていた2つの製品を買収した。この技術を基に発売したのが「Red Hat Directory Server」と「Red Hat Certificate System」である。Red Hat Directory Serverは、ユーザープロファイルやセキュリティポリシー、アクセス制御などを集約管理して単一レジストリにまとめたLDAPサーバ。Windows ServerのActive Directoryを統合したシングルサインオン環境を構築できる。Red Hat Certificate Systemは、PKI対応のセキュアなユーザー認証フレームワークを提供する。

 ミラクル・リナックスは、前述のようにSambaとOpenLDAPを統合したオープンソースによるソリューションを提供している。

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