第3回:エンタープライズに必要なミドルウェア提供の状況を探るエンタープライズLinuxの実力(1/4 ページ)

Linuxディストリビュータは、ソフトウェアベンダーでもある。Linuxカーネルをはじめ、ディストリビューションに含まれているアプリケーションパッケージのほとんどはオープンソースだが、Linuxディストリビューションを補完するためのさまざまな製品を用意している。今回は、エンタープライズ用途に必要なこれらのアプリケーションに関して、各ディストリビューションがどのように取り組んでいるのかを見ていこう。

» 2006年07月25日 08時00分 公開
[松井一朗,ITmedia]

Javaアプリケーションサーバ機能の提供

 現在のエンタープライズシステムは、Javaアプリケーションで構築される例が主流になっている。Javaアプリケーションのプラットフォームとしては、IBMの「WebSphere」、BEAの「WebLogic」、日立の「Cosminexus」、富士通の「Interstage」など商用ソフトウェアが利用されることが多い。

 しかし一方で、「Tomcat」「JBoss」など、オープンソースのJavaアプリケーションサーバが採用されることも少なくない。商用のJavaアプリケーションサーバは価格が非常に高いので、どうしても予算が合わずにオープンソースを選ぶ場合もある。

 オープンソースのJavaアプリケーションサーバについては、ディストリビューションによって対応がまちまちである。Red Hat Enterprise Linuxの場合、「Red Hat Application Server」という製品を提供している。ここには、EJB(Enterprise Java Beans)に対応したアプリケーションサーバ「JOnAS(Java Open Application Server)」、Tomcat、IDEの「Eclipse」など、オープンソースミドルウェアと開発環境が含まれている。ディストリビューションと切り離すことによって、必要な場合にのみ追加パッケージとして利用してもらうという方針だ。

 Turbolinux 10 Serverでは、ディストリビューションのパッケージ内に含まれるものの、Tomcat、JBoss、JOnAS、Eclipseなどは「Java CD」という別のメディアに収録。こちらは、サポートの対象範囲によって切り分けている。MIRACLE LINUXもそれに近い対応で、Tomcat、JBoss、Eclipseなどは「Developer CD」に含まれる。

 ディストリビューションの中に含め、サポートも一体化しているのが「SUSE LINUX Enterprise Server 9」である。JBoss、Tomcatなどは、ディストリビューションにあらかじめ含まれている。ノベルは、買収した旧シルバーストリームから引き継いだ「exteNd」という商用アプリケーションサーバを持っているが、今後はJBossへと移行を進める方針だ。

 ちなみに、「PostgreSQL」「MySQL」などのオープンソースのデータベースは、すべてのディストリビューションにあらかじめ含まれる。

図1 オープンソースミドルウェアのサポートが進むディストリビューション
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