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» 2006年07月28日 08時00分 公開

2007年問題の解決からRFIDの活用までPLMの役割は大きい (1/2)

現在の製造業者はどこでも、CADによる製品設計やBOM(部品管理)の管理などを実践するPLMソリューションを活用している。

[谷川耕一,ITmedia]

 もう15年以上も前のことだが、とある雑誌の編集部で読者ハガキの整理をしていた際に、編集部をたまたま訪れていたシャープの研究職の方と会話したことがあった。

 「シャープという会社は、ユーザーのハガキが研究者のところにもまわってくるんだよね。日本でそういうものを一番活用しているメーカーかもしれないよ」(シャープの研究職員)

 ちょうどそのころは、「目の付けどころが、シャープでしょ」というキャッチフレーズが市場に定着し始めたときだった。その後、液晶ビューカムやザウルスなど、個性的な製品が次々と市場に投入されることになる。消費者から届いたハガキの内容が新たなヒット商品の開発に直接つながったかどうかは定かではないが、このときは「シャープというのは風通しのいい企業なんだな」という感想を持ったことを憶えている。

 同社に限らず、現在製造業者はどこでも、CADによる製品設計やBOM(部品管理)の管理などを実践するPLMソリューションを活用している。

PLM対応アプリケーションはたくさんある

 PLMはプロダクト・ライフサイクル・マネジメントの頭字語。その目的は、よりよい製品を効率よく市場に投入することだ。そして市場に投入される製品は、環境対策や法律規制にももちろん対応し、製品を実際に使っている人からのフィードバックを、新たな製品の企画や設計、既存製品の改良へと結びつける。PLMの対象とする業務範囲はかなり広い。

 ベンダーから提供されているPLM向けのアプリケーション製品は、主に「設計情報」を企業内で共有し、有効活用することを支援するものと、「製品情報」を共有し活用しようとするものに大別できる。このあたりは、狭義にはPDM(Product Data management)と呼ばれることもある。

 設計情報を共有する前者は主に、設計製造工程を効率化するための仕組みだ。一方、製品情報を共有する後者は製造後の販売や流通、サポートといった部分での効率化を促す仕組み。さらに、現在はこれにサポートやコールセンター向けといったCRMの要素を含めたアプリケーションも加わる。

 これらのアプリケーションを導入することによって、企業の現場の問題を解決できる可能性がある。2007年問題で団塊世代のベテラン技術者が抜けてしまう製造現場では、従来は設計部門が「あうん」の呼吸で進めていたような作業が滞る懸念がある。ここでは、若い製造技術者と設計者の間で擦り合わせを行うための、新たな共通言語が必要になっているのだ。これについてはCAD/CAMから発展したPLMソリューションが問題を解決してくれるかもしれない。

 さらに、製品サイクルが短縮したことで、頻繁に製造ラインの見直しが要求される現状もある。トライアンドエラーで最適な製造ラインを設計している暇はない。そうなると、事前にラインの効率、安全性などをいかに検証できるかが鍵となる。そのためには、最新の3Dシミュレーションソフトと製品情報を組み合わせて活用する必要もありそうだ。

 このほかにも、タイムリーかつ効率化された部品の調達、在庫を最小にする流通計画、サポート対応ログから得られる製品メンテナンス性の検証、RFIDを用いた製品、部品のトレーサビリティなど、新たな要件も続々登場し、それぞれの場面で発生する問題を解決し作業支援するアプリケーションが数多く提供されている。

 つまり、それらすべてがPLMに対応したアプリケーションなのである。もちろんPLM対応製品を名乗っているものもあれば、そうでないものもあるだろう。とはいえ、広義のPLMの傘の下に入れることができるアプリケーション製品は非常に多い。

 ところで、これらを適宜組み合わせて導入すればPLMが実現できるかというと、そんなに都合良くはいかない。個々の問題を解決する部分最適が目的ならばアプリケーションの導入で実現できるだろう。しかし、それぞれのアプリケーションが連携して有機的に機能するようにするためには、相当な労力を要することになる。

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