昨日はFirefoxの現状について触れたが、今回は、OpenOffice.orgのそれについてキーパーソンのコメントを紹介しよう。近い将来、Firefoxと同様の拡張機能を備えることになるという。
OpenOffice.org 2.0がリリースされてから1年近くになるので、先週、オレゴン州ポートランドで開催されたOSCON(O'Reilly Open Source Convention)で、ルイ・スアレスポッツ氏(OpenOffice.orgのコミュニティー評議会議長兼コミュニティーマネジャー)と同席して、OpenOffice.orgの開発ロードマップがどんな具合か尋ねた。スアレスポッツ氏は、開発は順調に行っているが、OpenOffice.org 3.0のリリースはもう少し先になるだろうと言った。
スアレスポッツ氏によると、OpenOffice.orgは現在、OpenOffice.org 2.0アーキテクチャに機能を追加するスモールリリースに全力を注いでいる。3.0は「計画の段階にある」が、プロジェクトは「ビッグ」リリースの「プロプライエタリロジック」から離れ、代わりにインクリメンタルリリースに専念しているそうだ。
最近、OpenOffice.org 2.0.3がリリースされたが、2、3カ月のうちに2.0.4がリリースされるはずだという。2.0.3は機能的に大きな変化はないが、バグフィックスリリース以上のものだ。例えば、PDFエクスポートの機能が強化され、データベース構造との統合が向上し、ユーザーがアップデートをオンラインでチェックできるオンラインアップデート機能が追加された。
ただし、このアップデート機能はFirefoxのオンラインアップデート機能のように実際にアップデートのダウンロードとインストールを行うわけではない。スアレスポッツ氏はいずれ完全なアップデート機能を実現したいと言った。しかし、それは実装するのが簡単でない機能であり、またほかのベンダー(例えばLinuxディストリビューション)を通じてOpenOffice.orgを取得するユーザーが多いし、そうしたベンダーはこのアップデート機能を利用しないだろう、とも言った。
今年のOSCONの主要なテーマに沿って、スアレスポッツ氏はオープンデータの重要性と、OpenOffice.orgやそのほかのアプリケーションにとってのODF(Open Document Format)の重要性を強調した。トニー・コーツ氏はこれを自分のブログでうまく表現しており、「あなたのデータはあなたのアプリケーションより長生きする」と書いている。OpenOffice.orgとODFの人たちは、そのために多くのアプリケーションで使用できる、明確に文書化されたオープンな標準規格を開発した。スアレスポッツ氏によれば、プロプライエタリな標準規格に頼っていると「死の接吻」になるという。もしプロプライエタリな形式を後押ししている企業が廃業するか、その形式のサポートを打ち切ったら、「自分が持っているデータも終わりだ」。
スアレスポッツ氏によると、StarOffice、KOffice、SoftMaker、Writely、IBM WorkplaceなどがODFをサポートしているそうだ。もちろん、ODFはまだデータを共有するための完璧なソリューションとはいえない。マルコ・フィレッティ氏が去年の9月に指摘したとおり、アプリケーション間でデータを共有する上で、まだマクロに障害がある。マクロはODFと違ってアプリケーション不可知論者ではないからだ。
OOoチームはODFサポートアプリケーション間でのマクロサポートの問題に気づいているので、できるだけスムーズに移行できるようにプログラム間でのマクロサポートを標準化するための努力をしてほしいとスアレスポッツ氏は言う。マクロがしっかりサポートされていないので、Microsoft OfficeのマクロウイルスをOpenOffice.orgで抑えることができない。この点に注意を払うべきだと彼は警告する。
スアレスポッツ氏によると、ODFはOpenOffice.orgの採用もプッシュしている。多くの政府が、長期間にわたって自らのデータにアクセスできるようにする手段としてODFに期待していて、OpenOffice.orgの関与をODFサポートの「リファレンス実装」として扱っているそうだ。また、OpenOffice.orgは会計パッケージやユーザー補助などのMicrosoft Office用アドオンアプリケーションを提供してきたサードパーティベンダーから注目され始めているという。
Firefoxの人気に大いに寄与したものの1つが、Firefoxの拡張機能によって新しい機能性を追加できることだ。スアレスポッツ氏によると、OpenOffice.orgも拡張機能によって開発者が機能性を追加できるようにした。これはOpenOffice.orgのコードベースにあらゆる機能を追加するのではなく、OpenOffice.orgをスリムで有能で、容易に追加できるようにするものだという。
OpenOffice.orgの拡張機能はまだ利用されていないが(今のところ人気のあるOpenOffice.org拡張機能は多くないそうだ)、フランスのリヨンで9月11日から13日まで行われるOpenOffice.org Conference(OOoCon)2006では拡張開発が重要な議題になるだろう。
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