コラム
» 2006年09月08日 12時00分 公開

幹部は営業マンの悲鳴に耳を貸せ企業にはびこる「間違いだらけのIT経営」:第12回(1/2 ページ)

CRMやSFAを導入しても業績に変化が起こらないのはなぜか。その第一の理由としてこうした営業支援ツールに対する誤解が挙げられる。

[増岡直二郎,アイティセレクト編集部]

 顧客価値の最大化という、いかにも自尊心をくすぐる高度な目標を達成するためにCRMやSFAを導入したが、さっぱり受注高も売上高も好転しなければ、収益も改善しないというボヤキを少なからず耳にする。

 それは、その基本的な目標が間違っているわけでもなければ、CRMやSFAが役に立たないわけでもない。経営姿勢が間違っているのである。

 実際、受注高が低下傾向にあり、新しい顧客もさっぱり増えないので、CRMあるいはSFAパッケージを導入して改善しようとしたが、期待した効果を得ることができず悩んだ経験を筆者自身がしたこともあるし、多くの企業からも相談を受ける。

 そこからいえることは、まずほとんどの場合、経営者から担当者に至るまでCRMやSFAの本質を理解していない。例えば、CRMをITととらえることは大間違いであり、身の丈に合わない目標を設定することにつながる。

 その結果、期待した効果が得られないばかりか、全社的にはもちろん肝心の営業部門からも敬遠されて、レイムダック化したシステムを見るにつけ、悩んだり腹を立てたりする。悩んだり腹でも立てたりすればまだいい方で、レイムダック化したシステムをいつまでも信じ込んで、それを基準にフォローアップを続ける経営者や幹部には、担当者はほとほと手を焼く。担当部門がシステムを取り繕うのに、どれほど本来業務を犠牲にして手間と神経をすり減らしているかを幹部は分かって欲しい。例えばデータ入力やシステムのメンテナンスに膨大な手間を要し、システムの管理下に置かれた担当者は自由な発想も行動もできなくなっている。

 ここはIT導入後の取り組みについての議論だが、それにしてもCRM/SFAとは何か、なぜCRM/SFAなのかなど基本的なことを確認しながら、現実に多くのボヤキが出ていることを考えることから入らなければ、的を射た議論も、間違った経営姿勢の修正もできない。

CRM/SFAの本質と必要とされる背景

 CRM(Customer Relationship Management)とは、企業が全社的視野で長期的に継続して顧客と親密な信頼関係を築き、顧客の満足度を提供することにより企業が成長するというビジネスコンセプトで、総合的経営手法である。そして、ITはそれを効率的に実現するために使われる手法でしかない。ここで、ITを導入しさえすればCRMが実現すると思うのは大きな誤解であることが理解できるはずだ。ITは、自動的に優れた顧客サービスを提供はしない。

 従ってCRMを導入しようとする企業は、まず「顧客第一」という考えが根底になければならない。そんなことは建前であって、特にギリギリの場面でそんなことを心底考える企業などないと思う人は、企業の利益を得るために顧客を重視するという考えでも結構だ。いずれにしろ、根底に「顧客第一」という考えが必須である。これは極めて重要である。

 一方、SFA(Sales Force Automation)とはCRMの一手段であり、ITによって営業の生産性や顧客満足度を飛躍的に向上させ、売り上げ拡大を図るシステムである。SFA導入にも、当然「顧客第一」という理念を根底に据えることが求められる。

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