「Yahoo! ケータイ」誕生に慌てたか――グーグル、au、ドコモケータイルネサンスは起こるか 第2回(1/2 ページ)

ボーダフォンにおける「Yahoo! ケータイ」の誕生は、PCインターネットのポータルの競合らを「ケータイキャリア三国志」の戦いへ駆り立てることになった。当然、彼らがタッグを組むのは、KDDI(au)やNTTドコモである――。

» 2006年09月20日 08時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

検索の雄グーグル、ケータイ制覇に本腰

 ヤフーが、「Yahoo! ケータイ」という一キャリアのインターネットポータルとして独占的なポジションに就いたことに対し、最初に反応したのはKDDIだ。5月になって、検索エンジンの雄、グーグル(Googleモバイル)とauの提携を発表した。「EZWeb」のEZトップメニュー画面最上部に、グーグルの検索窓を置くというものだ。

 「auのケータイなの? じゃあ『EZWeb』につないでごらん。今日から一番上にグーグルの検索窓が出ているから」

 「あ、本当だ!」

 auユーザーとこんな会話をしたのは、7月20日。この日から、ボーダフォンユーザーによる「Yahoo! JAPAN」へのアクセス急増と同様に、auユーザーのグーグル利用は一気に拡大した。

「EZWeb」に突然出現した検索窓は「enhanced by Google」の文字にしっかりと支えられている。

 「KDDIに話を聞いたところ、auから(ケータイの検索サイトとして利用度の高い)『Yahoo! モバイル』へのアクセス数は激減したという。ユーザーはグーグルで十分なんだとか」(ケータイ業界に詳しいライターの石川温氏)

 実際、auユーザーであるA社第1営業部スタッフのFさんは「『お気に入りリスト』に登録していた『Yahoo! モバイル』には行かなくなった」という。

 また、同じくauユーザーの、Fさんの先輩であるKさんによると、元来「EZWeb」のメニュー画面の使い勝手がそれほどよくなかったとか。カテゴリの中のリストが時折変わるらしく、探すのが面倒になるらしい。

 「(メニューからたどっていってもすぐに見つからないので)いらついてやめちゃう」(Kさん)

 こうした「キャリアによるポータルサイト」の使い勝手への不満は、「EZWeb」に限ったことではないようだ。ボーダフォンで「Yahoo! モバイル」の利用が急増したのも、それを証明しているといえる。

 PCインターネットの利用方法として、いまどきURLを打ち込んでサイトを探す人はほとんどいなくなったといっていい。大手企業や好きなブランドのホームページのURLを覚えている人なんてかなりの少数派だろう。検索窓に企業名やブランド名などのキーワードを入力して検索結果からたどり着くというのが、もう一般的になっている。こうした検索サイトの使い方が、ケータイの世界にもすでに入ってきているのである。

備考

*1 本稿では、キャリアは携帯電話事業者を指す。現時点ではNTTドコモ、KDDI(au)、ボーダフォン(10月1日からソフトバンクモバイル)の3社になる。PHSのウィルコムは含んでいない。

*2 本稿における「携帯電話」「ケータイ」の使い分けについては、文脈や発言内容などに応じて変えている。例えば、「携帯電話事業(者)」としたり改まった発言である場合は漢字表記にした。基本的には、「携帯電話」という端末そのもの、手段、事業、分野などすべてにわたってカタカナ表記とした。

*3 本稿では、NTTドコモの「iモード」、KDDI(au)の「EZWeb」、ボーダフォンの「Vodafone live!」については「(ケータイの)インターネット」、パソコンなどで楽しむ、一般のインターネットを「PCインターネット」と称した。

*4 本稿中の数値・事象などは、例外を除き、すべて8月16日時点のもの。


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