インタフェース21、「Spring 2.0」をリリース

Interface21は10月3日、Javaベースのオープンソース製品「Spring 2.0」をリリースする。また、米国における事業を強化するための新規雇用に関しても発表する予定。

» 2006年10月04日 20時00分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Interface21は10月3日、人気の高い「Spring Framework」のメジャーアップグレード版をリリースする。

 ロンドンを本拠地とするInterface21は、米国時間10月3日早朝に「Spring 2.0」をリリースし、米国における事業を強化するための新規雇用に関しても発表する予定だ。

 Interface21が開発サポートしているJavaベースのオープンソース製品「Spring Framework」は、利用にさまざまな負担のかかる「Java Platform, Enterprise Edition(Java EE)」開発環境の代替として、多くの開発者が導入している軽量なアプリケーションフレームワーク。

 最近では、Spring Frameworkプロジェクトのダウンロード数が100万件を突破したことも明らかになったが、Spring 2.0のリリースで同ダウンロード数がさらに伸びると考えられている。

 Interface21の最高経営責任者(CEO)であるロッド・ジョンソン氏によると、今回発表する新版には、フレームワークの単純性および処理能力の強化といった複数の改良が施されているという。

 特に顕著な変更点としては、コンフィギュレーションの改善、アスペクト指向プログラミング(Aspect-Oriented Programming:AOP)機能および「Java Platform, Standard Edition(Java SE) 5」のサポート、非同期メッセージングの追加、「Java Persistence API(JPA)」の統合などが挙げられた。

 Spring 2.0におけるコンフィギュレーションの変更は、簡単な設定をするだけでSpringを用いた開発作業を始められるようにすることを意識して行われたと、ジョンソン氏は説明している。

 またAOPサポートの追加によって、Springにおける「AspectJ」AOP技術の利用が可能になるという。

 新バージョンには、XML拡張機能や「POJO(Plain Old Java Objects)」管理機能、Java SE 5の言語拡張サポートなども追加された。

 このほか、ジョンソン氏いわく「Webアプリケーション開発に役立つ強力な技術」である「Spring Web Flow」が発表されている。

 ジョンソン氏が執筆した同リリースに関するブログ記事には、「2003年末の『Spring 1.0』投入に向けて準備をしていた頃からこちら、これほど同技術の可能性および将来性を思って興奮したことはない」と記されていた。

 さらにジョンソン氏は、Spring 2.0には、Springを取り巻くエコシステムを新たな段階へ押し上げる要素もあると言う。

 Spring 2.0が「Pitchfork」プロジェクトの基盤になっていることが、その根拠の1つだ。PitchforkはBEA Systemsの次期「WebLogic」に実装される予定で、Java EE 5.0インジェクションおよびインターセプション機能を実現し、同時にSpringにより強力なインジェクションとJava EEコンポーネントに対する真のAOPを追加すると、ジョンソン氏は述べている。

 Springプロジェクト開発チームは、リリースを控えたSpringのOSGi(Open Services Gateway initiative)仕様に関しても、基本的な作業を終えている。ジョンソン氏はSpring OSGiについて、「サーバインフラストラクチャの基盤としてのSpringの価値を高め、コンポーネント化、バージョニング、動的配置といった面でユーザーに利益をもたらす」と話した。

 Interface21は、「Acegi Security for Spring project」を「Spring Security」という名称の下で、Spring製品ファミリに組み込んでいくという発表を近々行う。

 ジョンソン氏は、「ここでもやはり、Springの中核的な新機能の数々がユーザーのメリットとなるだろう」と語った。

 「新たなXMLスキーマ拡張機能がセキュリティ設定を劇的に簡素化し、高い性能を誇るSpring 2.0の利便性をさらに向上させる」(ジョンソン氏)

 その一方で、Interface21はOracleと提携を結び、OracleのオープンソースJPAインプリメンテーション「TopLink Essentials」をSpring 2.0に統合していくことになったという。

 またInterface21は、米国事業部門の上級バイスプレジデントとして、ニーラン・チョクシー氏を新たに雇用したと発表した。

 チョクシー氏は、「米国におけるビジネス全般の成長に注力する」(ジョンソン氏)予定である。

 SolarMetricの前社長であるチョクシー氏は最近まで、2005年に同社を買収したBEAで製品担当上級ディレクターを務めていた。

 SolarMetricは、オブジェクト/リレーショナル(object/relational:O/R)マッピング技術を専門に開発していた企業。

 SolarMetricの高パフォーマンスアプリケーション向けオブジェクト永続化ソリューション「Kodo」は、「JDO(Java Data Objects)」および「Enterprise JavaBeans 3.0」永続性標準を利用して、リレーショナルデータベースへのアクセスを実現していた。

 BEAは同技術を自社の製品ラインに組み入れ、オープンソース製品として公開した。

 ジョンソン氏は、チョクシー氏を招いたことで、「国際的な事業が著しく成長するだろう。特に、われわれの製品が高く評価されている米国は期待できる」と述べている。

 チョクシー氏は、顧客およびパートナー企業などに向けた声明に、「2006年10月2日がBEA Systemsに在籍する最後の日となる。BEAから、広い支持を受けているオープンソースプロジェクトSpring FrameworkをサポートしているInterface21へ移ることになったのだ。同社の米国事業部門上級バイスプレジデントとして、優秀な技術開発チームとともに働く機会を得られ、実にうれしい」と記した。

 また9月21日には、同社の米国担当セールスディレクターにリチャード・マッカーン氏が就任したことも明らかになっている。

 チョクシー氏同様、マッカーン氏もSolarMetricからBEAと渡り歩いた人物だ。両名は、マサチューセッツ工科大学卒業という学歴も共通している。

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