オンデマンド市場に“敵なし”と自信を見せるSalesforce.com(2/2 ページ)

» 2006年10月12日 20時05分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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 同氏はアジア圏における日本市場のコメントも聞くことができた。ベニオフ氏が来日した際のエピソードでは、キヤノンマーケティングジャパンの代表取締役社長である村瀬氏が同社のファンであることを聞き、喜んだという。オンデマンドについても意気投合した会話が交わされたようだ。

 ヨーロッパでも大企業で採用される傾向が目立っている。その一方で、アジア圏であれば中国についての経験が少なく、これからの課題であるとコメントしている。そうとはいえ、日本でのマルチバイト対応経験が生かせるはずと語っている。

 この点については、米国ベンダーのほとんどがマルチバイトへの対応などを軽視している傾向に注目したという。Salesforce.comではこの点を重視していると言い、米国はもちろん、ヨーロッパ、そして日本でも発生した問題に対して同レベルの対応であることを表明した。アジア圏での成功のためには、このような姿勢が重要であることを認識しているようだ。

 AppExchange、Apexの登場は、同社にとって重要なフェーズだという。今後は、CRMだけでなくERPの各種アプリケーションへの開発と拡がりが予想されるからだ。

 現時点でもCRM以外の分野としては、プロジェクトマネージメント、および人事採用のためのアプリケーションが、顧客から高く評価されている。この2点については、引き続き注力する分野であると語った。

 日本における、ファシリティマネージメントのAppExchangeアプリケーションがヒットしている背景にも触れた。これは、現時点では米国やヨーロッパでは見られない現象だといえる。この傾向からも考慮し、AppExchangeであれば、いずれのアプリケーション市場が大きく発展するかを顧客ニーズを見極めながら判断していく必要があるだろう。

オンデマンドからマルチテナンシーへ

 マイクロソフトがオンデマンドへと参入する件についての問いに、ベニオフ氏は「オンデマンドという言葉があまりにも一般化してしまっている」と切り返した。IBMが巨額な投資で“オンデマンド”という言葉を普及させた背景にも触れた。

 さらにSalesforce.comの特長を表す言葉として、「マルチテナンシー」である点も強調しており、説明しているという。自社によるアンケート調査などの結果から、Salesforce.comの顧客満足は非常に高いものがあと自信を語った。これもシングルテナントではなくマルチテナントでサービスを実現しているからだという。そして、今後12〜18カ月の間には、「マルチテナンシー」を広く提唱していく考えを明らかとした。

 マイクロソフトについてのコメントもあった。CRM製品をそろえたとはいえ、これを現実的に稼働させるためには、OSはもちろん、データベースやActive Directryなど同社のサーバ環境が必要となる。

 さらに、誰が統合のための構築をするのか? と、この点に対しての指摘をした。アップデート作業も必要だ……。ベニオフ氏はさらに、「オンデマンドでも使えるということだが、誰かそのサービスサイトのURLを知っているのだろうか?」と会見会場で問いかけた。現実にサービスされていないものは、競合とはならないことを指摘しているのだ。

 それでは、オンデマンドプラットホームの領域では、どのベンダーが競合となるのか? という問に対しては、「まだよく分からないが、現時点では競合は存在しないだろう。オンデマンドプラットホームでは、Salesforce.comがいま唯一の存在だ」と現時点での解を述べた。

 日本においてもオンデマンドで2バイトコードへ対応し、日本特有と言える携帯電話にも対応したことは優位さであることが確かだという。このため、このオンデマンドプラットホームへの参入はかなり難しいものだろうと語った。

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