企業内の情報管理、今こそコントロールをIBM Information On Demand 2006

10月15日から20日まで、米国・アナハイムのコンベンションセンターにおいて、IBM Information On Demand 2006が開催されている。統合サーバ「IBM Information Server」の発表も行われ、会場は活気付いている。

» 2006年10月17日 18時25分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 10月15〜20日の6日間に渡り、米国・アナハイムのコンベンションセンターで、IBM Information On Demand 2006が開催されている。この名称での開催は今回が初となるグローバルカンファレンスで、エンタープライズ向けの情報管理ソフトウェアが中心テーマとなる。来場者数は5000名以上にのぼり、以前に開催されていたカンファレンスの2倍以上の規模となる。

 カンファレンスの中核メッセージは、“TAKE BACK CONTROL”(コントロールを取り戻せ)。このあとさらに“OF YOUR RISK”“OF YOUR FUTURE”“OF YOUR MARKET”“OF YOUR BOTTOM LINE”“OF YOUR INFORMATION”の各フレーズが続くのだが、中でも中心となるのはINFORMATIONで、「情報に対するコントロールを取り戻せ」というメッセージとなる。

 15日はIBMのビジネスパートナーを対象とした「Business Partner Business Development Day」であり、実質的なスタートは16日午前の「Grand Opening Session」からとなる。

 このセッションは一般的なビジネスカンファレンスの基調講演とは異なり、極めてエンターテイメント色の強いものだった。米国ではとても人気のあるコメディアン(だという)、ワイン・ブラディ(Wayne Brady)氏が達者な芸を見せて会場を沸かせ、その合間にIBMのメッセージが挟まれるという構成だったが、コメディについては割愛し、IBMのメッセージに関して紹介しよう。

 IBMのインフォメーション・マネジメント部門ゼネラル・マネージャーのアンブシュ・ゴヤール氏は、情報の管理に関して、顧客情報、製品情報、価格情報、契約情報などと企業内で扱われる重要な情報を列挙し、それらが現状それぞれ異なるアプリケーションによって管理されているという状況を踏まえた上で、これらに対するコントロールを取り戻すことが企業にとっての重要な課題だと強調した。

IBMのインフォメーション・マネジメント部門ゼネラル・マネージャーのアンブシュ・ゴヤール氏

 現状では、企業内で新しいITプロジェクトが発足すると、それが新しい情報、新しい情報モデルを作り出してしまい、それらが再利用されることはめったにない。典型的な大企業では、社内に38の会計システムがあり、70%以上の時間を、本来のビジネスのためではなく、適切な情報を見つけ出すことに費やしているという。コンテクストに沿った適切な情報が正しい場所に存在しさえすれば、ビジネスの効率は大幅に改善されるわけで、これこそが今後IBMが提供しようとしている情報管理の根本目標というわけだ。

 情報のコントロールを取り戻した成功例として言及されたのがパナソニックだ。パナソニックでは製品情報に対するコントロールを回復し、その結果、製品の市場投入までの時間を30%削減することに成功したという。

 また、新製品の発表も行なわれた。1996年当時、トランザクションモニタリングやJava、JDBC、メッセージング、ロードバランシングやセキュリティなど、さまざまな機能要件が乱立したが、これらをすべて統合したアプリケーションサーバの登場によって、ユーザーはこれらの機能のコントロールを回復した。これにならい、現在乱立しているコネクティビティ、プロファイリング、レプリケーション、メタデータ、SOAといったさまざまな上位機能をまとめる新たな統合サーバが「IBM Information Server」となる。ネーミングが一般名詞的で内容が少々分かりにくい感があるが、11月に出荷開始される予定の新製品の製品名である。製品の内容については詳しくは触れられなかったが、今後さまざまなセッションで情報が出てくるものと考えられる。

 このほか、「Information Management Award」の受賞者の発表も行なわれた。CTO Innovation Awardは革新的な技術に対して与えられる賞で、選考のセミファイナルに残ったのはBearing Point GmbH、Cognos、Justsystems, Inc.、National Informatics Centre、Nextance, Inc.、Nstein Technologies、Systems & Programming Solutions, Inc.の各社で、日本のジャストシステムが受賞した。「xfy」によるXMLの取り扱いの先進性が評価されたもので、日本国内でもDB2 9と連携してXMLアプリケーションを構築/活用するためのインフラソリューションとして製品化されている技術だ。また、Best of Information On Demand Showcase AwardはCognosが受賞している。

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