では、WPFでできることとはなんだろうか。WPFでは、2D、3D、テキスト、オーディオ、ビデオなどの素材を扱ったさまざまな表現が可能であり、これらの素材に特殊効果やアニメーションをかけることもできる。もちろん、これらの素材をボタンなどのコントロールとして使用できるようになっており、通常のWindowsアプリケーションのように、イベントハンドリングやプロパティを使った制御が前提となっている。つまり、従来のプログラミング技術を踏襲した上で、さらに表現力や柔軟性が向上している。
REMIX Tokyoの基調講演やテクノロジートラックセッションでは、WPFを利用したさまざまな事例が紹介された。Internet Explorer 7上に表現されるもの、サイドバーガジェットとWebが連動したものなど、多様な事例を見ることができ、中には実際にWeb上に公開されているものもあった。しかしながら、どれもVistaのRC1を使わなければ見ることができないため、読者に見ていただくものとしては、セッション中でも紹介された、YouTubeにある「WPF Mashup (Directors Cut)」ビデオをお勧めしておく。このビデオは、WPFで実現できるアイデアや実例をまとめて見せてくれるため、WPFでどのような表現が可能になったのかを見るには最適だろう。
WPFは、Windows Vista上のWindowsFormアプリケーションだけでなく、Webブラウザ上の表現にも利用できる。また、プラットフォームそのものもWindowsに限られているわけではなく、WPF/E(WPF Everywhere:WPFのサブセット版)により、SmartPhone、MacOSなどでも実行が可能となる(サブセット版のため一部機能が限られる)。
このようなWPFの表現力やソフトウェア基盤としての潜在力は、今後デザイン業界にどのような影響を与えるのだろうか。例えばWebデザインにとっての、単にFlashの代替といった表現の選択肢の1つという意味だけでなく、アプリケーションのあり方そのものにさえ影響を与える可能性がある。
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