メッセージングサーバScalix 11 Community Editionの初見レビューSuper Review(2/3 ページ)

» 2006年10月31日 08時00分 公開
[Michael-Stutz,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

新しい機能

 実際の機能面に関しては、Scalix 11には興味深い新機能が数多く存在する。非常に大きな進歩の1つが、Unicodeと2バイト文字に完全対応した国際化の取り組みである。アジア市場向けにはローカライゼーションと文字セットへの対応が不可欠だが、今回のリリースによってScalixがアジア市場にも目を向けようとしていることが伺える。

 新たなWebクライアントが利用できるようになったこともScalix 11の大きな変化である。Scalix Web Access Mobileは携帯電話をはじめとする無線デバイスのためのもので、小さなGIF画像を用いた初歩的な電子メール制御の機能を提供している。またAJAX ベースの管理用Webクライアント、Scalix Administration Console(SAC)は、今回から"SAClet"という機能拡張用のプラグインに対応できるようになっている。SACを使えば、ローカルおよびリモート管理の実行がブラウザから可能になる。リモートでSACを利用しようと考えているなら、そのインストール時にアクセスの安全性を高めるためのKerberosの設定ができる。

 別の新機能として、電子メールメッセージに対するリアルタイムの検索および索引付けがあるが、このサービスはLucene上に構築されているようだ。またScalixは、プロパティファイルの編集と言語プロパティの指定だけで簡単にローカライズができる。現時点では、デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、スウェーデン語のオプションが用意されている。そのほかの言語用に独自のカスタムアナライザを追加することもできる。

 ウイルス保護の面では、手のかからないプラグイン利用のアプローチをScalixは取っている。専用の保護システムを開発するのではなく、サードパーティーのアプリケーションを活用しているのだ。ウイルススキャンはScalixサーバの内部で行われるため、社内でウイルスが発生しても保護されることになる。

 スパムフィルタリングは、これとは別の仕組みで実行される。Scalix自体がSpamAssassinをScalixサーバ内で実行する設定を許可しており、Scalix外部の独自のアンチスパムシステムを別のサーバ上にセットアップすることもできる。

十分な文書化

 Scalix 11には思わず困惑してしまうほどの数のプログラムが付随しているため、そのすべてに適切なmanページが用意されていると知ったときには頼もしさを感じた。さらに便利なのがサンプルディレクトリで、監査ファイルの作成やリモートのScalixシステムに対するディレクトリ更新の適用など、基本的な管理タスクの実行方法を示すサンプルスクリプトが10種類近く収められている。プレビューパッケージにもそれらしい「リリースノート」ファイルがついており、Webクライアントはオンラインヘルプを備えている。

 前記以外のマニュアルは、プレビューパッケージには含まれていない。ドキュメンテーションディレクトリにScalixマニュアルのサイトのURLがあり、すべてそこからダウンロードできるようになっているのだ。そこには6種類ほどマニュアルがあり、142ページにおよぶインストールガイドや148 ページのセットアップガイドが含まれている。いずれ、これらに目を通す必要が出てくるだろう。同等クラスのどんなエンタープライズ電子メールサーバでも同じことだが、小規模なScalixシステムであってもいきなりセットアップして管理を始めることはできないからだ。

 そのほかにもScalixは、公開メッセージフォーラムWikiなど数多くのオンラインサポートを提供している。

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