オープンソースと商用ソフトの新たなチャンスが――MSとNovellの「歴史的」提携(1/2 ページ)

「ユーザーがSUSE Linuxを買えば、Microsoftとも特許契約を結ぶことになるのだ」とMSのスミス氏は語っている。今回の提携によってMicrosoftとNovellは、何を切り開いていくのか?

» 2006年11月06日 14時07分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 WindowsとLinuxの相互運用性に向けて協力することでMicrosoftがNovellと合意したことは、オープンソースおよびプロプライエタリソースの開発をめぐる多数の特許問題に光明を投じ、これらの問題の解決に貢献できる企業に新たなチャンスを切り開こうとしている。

 Microsoftによると、Novellとの提携の一環として、営利を目的としない個人のオープンソース開発者に対してMicrosoftは自社の特許を主張しないとしている。

 ワシントン州レドモンドを本拠とする巨大ソフトウェアメーカー、Microsoftの上級副社長兼総合顧問を務めるブラッド・スミス氏によると、同社はSUSE Linux Enterpriseにコードを提供しているOpenSUSE.orgの個人コントリビューターに対して特許を主張しないことを約束したという。

 この件に関するMicrosoftのニュースリリースは、次のように述べている――「特許協力提携は、MicrosoftとNovellが、特許侵害の申し立てに対する保護を顧客に保証することを可能にする。また、自社の環境で利用/配備している技術が両社の特許に準拠しているという安心感を顧客に与えるものである」。

 提携発表が行われたサンフランシスコでの記者会見においてスミス氏は、「Novellは重要な特許ポートフォリオを持っており、Microsoftは世界最大級のソフトウェア特許ポートフォリオを持っている。われわれはオープンソースとプロプライエタリなソースをつなぐ橋を築く方法を見つけたいと考えた。そしてわれわれがその橋を築くのだ」と語った。

 「ユーザーがSUSE Linuxを買えば、Microsoftとも特許契約を結ぶことになるのだ」とスミス氏は付け加えた。

 サンフランシスコにあるPalamidaのマーク・トリバーCEOは、記者会見の席上でMicrosoftの方針への支持を表明し、「この提携は、ソフトウェアを利用する人々に十分な情報を提供する必要があるという認識を広げるものだと考えている」と述べた。

 トリバー氏はこの状況を加工食品の世界になぞらえ、消費者は購入する食品の栄養組成を確認することができると述べた。ソフトウェアでも同じようにすべきだという。Palamidaのソフトウェアでは、企業ユーザーが自社のソフトウェアのコードベースを調べ、オープンソースコードが存在するか、そしてどんなライセンスが適用されるかを確認することができる。

 トリバー氏によると、MicrosoftとNovellの提携は、より多くの企業ユーザーが自社で使っているソフトウェアのコードの中身を正確に把握する必要性を明白にするとともに、Palamidaなどの企業に新たなチャンスを切り開くものだという。

 「ソフトウェアの世界は、オープンソースとプロプライエタリソースが混合したコミュニティーによって推進される領域に入ろうとしており、そこでは商用ソフトウェアは膨大なオープンソースソフトウェアと混じり合う必要がある」とトリバー氏は話す。

 同氏によると、Palamidaは「以前からの当社の顧客の1社である」Microsoftから発表会に招かれ、この分野の専門企業として出席するよう要請されたという。「知的財産およびライセンス準拠に関する問題に毎日取り組んでいる企業として同席してほしいということだった」と同氏は説明する。

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