Fedora Core 6:Zod様の御登場!Super Review(3/3 ページ)

» 2006年11月13日 14時07分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
前のページへ 1|2|3       

Xenの操作性

 FC6では、新たなセットアップツールを用意することでXenの操作性が改善されているが、VMwareのServerやWorkstationあるいはParallelsのゲストシステム設定と比べると、Xenゲストのセットアップ法はまだまだ改善の余地が残されている。なおXenはデフォルトでセットアップされないが、多くのユーザーはXenゲストのセットアップを必要としないであろうから、これは妥当な仕様だといえるだろう。

 今回のテストではwikiにあった指示に従ってXen対応カーネルおよびXenツールをインストールしてから、Virtual Machine Manager(VMM)を用いてFC6環境下でのゲストOSの1つとしてFC6を別途インストールしてみた。VMMといってもその操作は比較的簡単で、GUIアプリケーション上で仮想マシンのパラメータ(メモリ量やディスクスペースなど)を設定してFCパッケージの格納位置をインストーラに指定するだけだ。

 VMMはCD/DVDおよびISOイメージからのインストールはサポートしていないので、ユーザーはHTTP、FTP、NFSを介したネットワーク経由でFCツリーの位置をVMMに指定する必要がある。Fedoraミラーを使うこともできるが、転送速度はかなり遅い。おそらく一番良い手順は、ISOのマウント先をローカルシステムあるいはLAN上にある別システムに設定して、NFS経由でエクスポートすることだろう。

 現状のVMMにはかなりの進歩が見られるものの、万人向けの機能となるには、まだまだ改善すべき余地が多く残されている。例えばVMMが一覧するゲストは実行中のものに限られているので、停止状態にあるゲストをVMMから起動させることはできず、そうした場合はVMMの管理下にあるXenゲストであってもxm create vmname を用いて起動させなければならない。

 ところで現行のXenインストールガイドには、説明が1つ抜けているのではないだろうか。それというのも、FC6ではデフォルトでSELinuxが使用可能となるが、これが原因となってXenゲストのセットアップ作業が阻害されているようなのである。今回、最初にゲストのセットアップを試したところエラーが生じてリスタートさせるしかなかった。結局、以前のインストールガイドの説明の中に、SELinuxをオフにすることが推奨される旨の記述が見つかり、その説明に従って操作を進めたところ、FC6のインストールは問題なく進行したのである。

SELinuxの操作性の向上

 ひょっとしたらSELinuxの登場は、ブルース・シュナイアー氏の業績以来、セキュリティ分野における最大の進歩かもしれないが、その操作法については依然として一筋縄ではいかない部分が残されている。その点Fedoraの開発スタッフは、いまだ荒削りの感のあるSELinuxの運用を簡単化する目的でトラブルシューティング用ツールを用意すると同時に、Security Level Configurationツールという形で、SELinuxポリシ変更用のオプションを多数利用できるようにしてくれた。

 わたし自身はSELinux Troubleshooterを使う機会には遭遇しなかったが、ポリシエディタを起動してマウス操作だけでどの程度の変更をSELinuxポリシに施せるかを確認してみた。FC5の場合と同様、SELinuxのレベルについては、enabled、permissive、disabledを設定できる。また、FTP、Apache、名前付きサービスなど特定のサービスに対してSELinuxを不使用にすることも可能だ。そのほか、Sambaにユーザーの homeディレクトリを共有させないなど、より細かな動作設定を施すことができる。

一部の問題に目をつぶれば総合評価としては優秀

 Fedora Core 6には荒削りな部分が残されているが、その辺を気にしなければ、非常に優れたディストリビューションだといえるだろう。最もわたし個人としては、より入念なテストをしてからリリースした方が良かったと考えているし、そうした点はインストーラ関連の動作に特に当てはまる。これがレビュー記事を書くためではなく、個人的な使用目的でFC6を評価していたなら、2台のテストマシンへの導入時にインストーラでsegfaultが発生した段階において、おそらくわたしはFC6を放り出していただろう。

 Fedora CoreはRed Hatのβ版にすぎないといったらFedoraの開発スタッフは眉間にしわを寄せるだろうが、そうした批判を聞かされたくないのであれば、インストーラにバグが残されているのを承知しながらリリースを強行するようなまねはせず、予定を先延ばしにしてでもより入念なテストを施すべきであったはずだ。

 もっとも、インストールさえ終わってしまえば、FC6は順調に稼働してくれた。デスクトップシステムとしては堅実な作りであるし、Fedoraリリースサイクルの短さが問題にならなければサーバとしての運用にも耐えるはずだ。

関連キーワード

Super Review | Fedora | SELinux | Xen


前のページへ 1|2|3       

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ