米Foundry Networksのアメド・アブデルハリム氏が、次世代ネットワーク(NGN)の果たす役割と必要な要件について語った。
「複雑さやキャパシティ、新しいサービスに対するニーズへの対応……次世代ネットワーク(Next Generation Network:NGN)はこうした一連の課題について、長期的観点から解決を図るものだ」――米Foundry Networksのハイエンドスイッチング/ルーティングソリューションプロダクトマーケティングディレクターのアメド・アブデルハリム氏は、NGNの果たす役割についてこのように語った。
NGNを巡っては、IPテクノロジをベースにさまざまな通信サービスを統合するとして期待が寄せられる一方で、通信キャリアによる「囲い込み」の再現ではないかという意見も見られる。いずれにせよ、主要なキャリアや通信機器ベンダーの目はNGNに向いており、NTTでは12月からフィールドトライアルを開始する予定だ。
NGNの大きな特徴として取り上げられるのは、公衆電話回線や専用線といった固定通信網と携帯電話などのワイヤレス通信網がIPというテクノロジを通じて統合されるということ。そして、その上でデータだけでなく、音声や動画などのマルチメディアサービスを提供する「マルチプレイ」を実現していくということだ。
アブデルハリム氏は、10Gbpsといった数年前には考えられなかった帯域を享受できるようになったことを踏まえ、「帯域キャパシティに対するニーズを満たすだけならば、今現在のネットワークテクノロジでも解決は可能だ」とした。
「しかし、それは別々のネットワークに分断されており、それぞれにキャパシティを増やしていっても運用管理の手間が増加するだけだ。1つの統合されたネットワークインフラを構築することにより、キャパシティと運用コストの削減という課題を両方とも解決することができる」(同氏)
ただでさえ通信事業者やISPは、激化する競争の中にある。この中で、魅力的な価格でマルチプレイサービスを提供していくには、コスト効率に優れたインフラが必要であり、それこそがNGNの役割だという。「もしも市場競争がなければ、事業者はレガシーな世界を守ろうとしただろう。しかし現実にさまざまな競合にさらされている以上、より安価でキャパシティの大きなIPやイーサネットベースのネットワークへの移行は避けられない」とアブデルハリム氏は述べた。
同氏によると、今後NGNが現実のものになっていくためには、いくつかの技術的要素が必要だという。膨大なデバイスにアドレスを割り振るために必要なIPv6、QoSを通じてサービスの品質を確保するMPLS/DiffServ、レイヤ1からレイヤ3までを一括して制御するGMPLSなどがその例だ。
アブデルハリム氏はさらに、イーサネットのバックボーンへの適用も鍵になると述べた。コスト効率に優れるイーサネットがQoSや拡張性、信頼性やサービス管理といった機能を併せ持つことにより、これまで導入が進んできた企業WANやメトロエリアだけでなく、バックボーンにも適用可能になると同氏。現在、Foundryも参加するMetro Ethernet Forum(MEF)では、その標準化に向けた取り組みを進めているところだ。
さらにその先には、100GbEが控えている。まだ仕様の策定段階にあり、標準化が完了するのは2010年ごろになると見込まれるが、「特にパフォーマンスに厳しい顧客の中には、今すぐにでも導入したいと言ってくるところもある」(同氏)という。Foundryでは、「NetIron XMR」「同MLX」シリーズや「BigIron RX」シリーズといった製品群を通じて、これら5つの技術的要素をサポートし、NGNの実現を加速させていく方針だ。
電話という技術に比べると、IPベースのテクノロジはまだ歴史が浅く、IP電話サービスのトラブルも発生している。しかし「たとえば3年前には、第三世代の携帯電話サービスは『使えない』といった評判があったが、今では非常によく動いている。同じように、最初は問題が起こるかもしれないが、オペレーション上の経験を積むことによって解決することができるだろう」とアブデルハリム氏は述べている。
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