ソーシャルメディアでビジネスを動かす(後編)――SMO成功の鍵はブログの最大活用(1/2 ページ)

無数に存在するソーシャルメディア。これからの企業は、その「情報伝達力」をうまく活用し、あらゆる社会的なつながりを深め、市場で最大の価値を得ようとする努力が必要だ。SMO(ソーシャルメディアの最適化)をどのようにマーケティングに活用すべきだろうか?

» 2006年11月16日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),アイティセレクト]

 そもそも、ソーシャルメディアとは何だろうか。例えばブログやSNS、ソーシャルブックマーク、RSSアグリゲーター(リーダー)、さらにはポッドキャストやブイログ(ビデオブログ)といったCGMやUGC(User Generated Contents)などがそこに含まれるだろう。来年前半には会員が1千万人を突破するといわれるミクシィの躍進を目の当たりにすると、ソーシャルメディアの情報伝達力は、マス・マーケティング以上の効果を生むのではないかという予感が現実味を帯びてくる

ブロガーに情報を与えることがSMOの第一歩

 「SMOは、基本的にクチコミを発生させやすくするための機能や仕組みを利用することですが、良い商品や優れたサービスの存在が前提となります。それらの情報を過不足無くきちんと発信されることが、機能の利用より重要なのです」と語るのは、Web制作会社ミツエーリンクスの経営企画室でマーケティングエンジニアを務める棚橋弘季氏だ。社員ブログの他、自身のブログ「DESIGN IT! w/LOVE」でも多くの読者を集める人気ブロガーでもある棚橋氏は、SMOの活用例として、任天堂が12月に発売予定の新型ゲーム機「Wii(ウィー)」の公式サイトを挙げる。

任天堂「Wii」公式サイト:「Wii Preview イベント」での岩田社長のプレゼン動画を置くことにより、多くのユーザーがページやブログ記事をブックマークした。

 そこでは、9月14日に幕張メッセで開催されたプレビューイベントに登場した同社岩田聡社長のプレゼンの全容が動画で公開されているが、これを材料にニュースサイトや人気ブロガーなどが記事として取り上げたことで、ソーシャルブックマークに記事や動画の共有が開始され、情報がネット上に拡大した。テクノラティのブログ検索によると、このプレビューからわずか2週間後には、1500件を超すブログが書かれたというから驚きだ。当然ながら、ブログの閲覧者数はさらに多いことになる。

 この事例から見えるのは、リアルな情報を上手に開放することが、ブロガーたちの記事執筆にも役立ち、それが瞬く間に広がっていく可能性である。

 ただし、失敗なく情報を拡散させることには難しさがある。棚橋氏は「これまでのBuzz(バズ)マーケティング(クチコミを利用したマーケティング手法)と同様に考えてはならない」と釘を刺す。「企業が仕掛けるバズマーケティングでは、謝礼や報奨を払ってクチコミ効果を仕掛けていました。しかし、多くのブロガーは謝礼目当てに記事は書きません。その代わり、ブロガーたちが記事を書きやすいようにきちんとした情報を与えてあげることがSMOの第一歩となるのです」(同氏)

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