運用アウトソーシングのグローバル活用事例システムマネジメント最前線(1/2 ページ)

顧客が導入したオラクルのソフトウェア製品をオラクルのエキスパートが24時間365日体制で運用管理する「Oracle On Demand」は、ミッションクリティカルなシステムの運用上のリスクを最小化する、最も基本的なアウトソーシングの形態である。そのOracle On Demandを積極的に採用し、効果を挙げている導入企業として、ラベルプリンタメーカー、サトーの事例を紹介する。

» 2006年11月30日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「システムマネジメント最前線」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


グローバルな事業展開の中でシステムをリプレース

 サトーは1940年に創業、1962年にハンドラベラーの製造販売を開始し、その後世界で初めてとなるバーコードおよびOCR文字印字プリンタを開発するなど、インストアマーキングにおけるトップメーカーとして発展してきた。1993年には、“DCS(Data Collection Systems)& Labeling”という独自のビジネスモデルを発表。これは、バーコード、QRコード、RFID(ICタグ)などの自動認識技術を駆使し、最適なプリンタ、スキャナ、周辺機器、ソフトウェアを組み合わせて、導入後の保守サービスからサプライ製品の提供まで含めたトータルソリューションを提供するものだという。現在では、世界各地のメーカーをグループ傘下に収めるなど、グローバルな事業展開を図っている。

 そのサトーの基幹業務システムを中心に、開発から運用管理までを担当しているのが、経営企画本部情報システム部である。情報システム部が受け持つのは、経理・会計系、生産・販売系、物流系、保守サービス系などの全社にまたがるシステムであり、これらのシステムで稼働する業務アプリケーションのほとんどは、情報システム部がスクラッチから自社開発してきたという。

 しかし、グローバルな事業展開を進めていく中で、業務アプリケーションを継続して自社開発していくことは困難になりつつあった。そこでサトーでは、まずは会計アプリケーションからパッケージ化を進めることにした。

会計アプリケーションにOracle EBSを採用

 ERPパッケージ製品を中心に、多くの会計アプリケーションを比較検討した結果、サトーが選んだのは、「Oracle E-Business Suite 11i」(Oracle EBS)だった。選定にあたっては、海外拠点の情報をすぐに見たいという基本方針があり、そのインフラとしてOracle EBSが最適だと判断したという。

 「日本でOracle EBSが稼働したのが2004年10月。2005年10月には、海外販売子会社16社を統轄するシンガポールのサトー・インターナショナルに導入しました。ここでは、販売、在庫管理など、Oracle EBSをフルに活用しています。2006年10月に米国、英国に導入し、すべての海外拠点のシステムをOracle EBSに置き換える作業を進めています」(情報システム部部長、小柴陽二氏)

情報システム部部長、小柴陽二氏

Oracle On Demandの利用を想定して導入

 Oracle EBSの導入にあたり、CSKが導入ベンダーとして参画した。システムが稼働して最初の決算となる2005年3月末までは、CSKのエンジニアがサトーに常駐してシステムの運用管理を担当、その後はサトー情報システム部にすべてが引き渡されることになっていた。

もちろん、情報システム部が担当しなければならないシステムは、Oracle EBSだけではないため、少人数でも運用管理できる体制を当初から考えておく必要があった。

 「Oracle EBSの導入はCSKにお任せし、われわれ情報システム部のメンバーは、Oracle EBSと他システムとの連携部分の構築を中心に担当してきました。そのため、Oracle EBSを運用しようといったところで、当然社内にはノウハウがありません。そこで紹介されたのが、Oracle On Demandだったのです。つまり、何らかの課題があって、その解決のためにOracle On Demandを導入したのではなく、Oracle On Demandの利用を前提として、Oracle EBS運用管理体制を構築したと言えます」(情報システム部主任、田村英樹氏)

情報システム部主任、田村英樹氏
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ