――デスクトップとノートPCを保護する優れた戦略とは、どのようなものでしょうか。
ハガーマン氏 まず、サーバのバックアップソリューションとデスクトップおよびノートPC向けの戦略は異なるはずです。おそらくは異なるべきものだ、という点を念頭に置く必要があります。また、デスクトップやノートPCのユーザーは、自分でバックアップを行うつもりが基本的にないという点も忘れてはいけません。
企業が持つ数多くのPCに記録され、刻々と変化するデータに遅れを取らないためには、IT部門が簡単に展開できて、ユーザーへの負担がなるべく小さいデータ保護ソリューションが必要です。特に、ノートPCのユーザーは社外に持ち出すモバイルユーザーであることが多く、社外での作業効率が悪くなるような面倒をいやがるはずです。リモートやモバイルのユーザーが普通に仕事をしている間、バックグラウンドで透過的に素早く作業をしてくれるデータ保護ソリューションが望ましいはずです。
――分散型クライアントのバックアップ/リカバリソリューションに求められる要件を教えてください。
ハガーマン氏 企業が必要とするデスクトップのリカバリソリューションは、次のような目標を達成できるものとなります。
このような特長を持つソリューションが必要であり、それが可能な限り自動化され、簡単に使えるものであれば、ユーザーは自分でリストアを行えます。さまざまな品質のネットワーク接続やダイヤルアップ接続にも対応している必要があります。
ごく最近まで、効果的なノートPCやバックアップデータの保護戦略を実装するのは、ほとんど不可能というほど困難でした。バックアップソリューションの目的は、問題が発生したとき、素早くリカバリすることです。そのためには、例えば、次のような各種シナリオにも対応できる必要があります。
バックアップソリューションには、個別ファイルのリカバリからハードウェアを一新してリストアする「ベアメタル」リストアまで、すべてをサポートしていることが求められます。
――ソフトウェアベースの災害復旧ソリューションを実装する際、どのような点に注意すべきでしょうか。
ハガーマン氏 IT管理者にとってもエンドユーザーにとっても、簡単に展開できて使いやすいソフトウェアを選ぶべきです。その際にはスケーラビリティも重要です。特に、企業が成長中であったり、ノートPCの数が増えつつある状態なら、特に注意する必要があります。
また、災害復旧機能の善しあしも注意深く検討する必要があります。時間と生産性の面で負担がなるべく小さい形でバックアップを行い、仕事が継続できるかどうかが、災害復旧機能を左右する大事なポイントになります。
例えば、ほんの2〜3時間で、(構成や設定もすべて含めて)最新のバックアップ時とまったく同じ形にシステムを再構築できるとしたらどうでしょうか。東海岸でノートPCをなくしたとしても、翌日には西海岸にある本部のオフィスに、最新バックアップのデータが入った新しいマシンが届くのです。災害復旧とはこういうものなのです。
――保護対策は、ほかにどのようなものがあるでしょうか。どうしたらハードウェアを盗難から守ることができるでしょうか。
ハガーマン氏 モバイルユーザーに適した対策には、さまざまなものがあります。これには、物理的なロックや暗号化ソフトウェア、ノートPC用保険などが含まれます。しかし、旧来の常識に勝る保護対策はありません。例えば、空港でX線のゲートを通る際、ノートPCのケースから目を離さないこと。たとえ、ポケットの小銭が警報を鳴らしてしまってもです。
――モバイル用のデータ保護ソリューションがあれば、それだけで、リモートのコンピュータがバックアップされることになるのでしょうか。
ハガーマン氏 ユーザーがダイヤルインしてくるたびにリモートPCのバックアップを行うように設定しておく必要があります。リカバリは、ヘルプデスクを通じてファイルリカバリを行うのでも、ユーザーが行う形式でも、管理型でもかまいません。
リモートユーザーの場合、企業のシステム管理者にその場まで来てもらって全部やってもらえると期待することはできません。システム管理者も、リソース不足に悩まされているのが常なわけで、必要に応じてメインコンソールからリモートユーザーのマシンにアクセスし、主な問題を解決できる必要があります。
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