サイバー犯罪の若者をセレブ扱い――犯罪組織の学生スカウトの実態

14歳の若者をセレブ扱いして犯行に加担させたり、SNSやオープンソース方式も積極活用――。McAfeeの報告書で明らかになったサイバー犯罪組織の実態。

» 2006年12月13日 10時49分 公開
[ITmedia]

 最年少で14歳の若者が「セレブ」扱いに惹かれて犯行に加担している――。セキュリティソフトメーカーの米McAfeeは12月12日に発表したサイバー犯罪に関する報告書で、こんなショッキングな動向を紹介した。

 報告書によると、犯罪組織はITを学ぶ学生や大学院生に積極的に近づいてリクルートし、金と引き換えに大規模なハイテク犯罪に従事させている。

 ハッキングコミュニティー内部のカルト組織も結成され、犯行を犯した人物がセレブ的な扱いをされているほか、潜在的セキュリティ問題にスポットを当てた専門家フォーラムは、ハッキングや犯罪の手口を披露する場になっているという。

 企業を標的とした攻撃では、現在や過去の従業員、取引業者、サプライヤーなどがセキュリティ上の不備を突いてハッキング攻撃の大部分を実行。犯罪組織が学生をスポンサーして企業に潜入させるケースもある。

 ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)も積極的に利用されている。金目当てのマルウェア作者が偽のプロフィルやアドウェア/スパイウェア/トロイの木馬を仕掛けたページをロードし、人気に乗じて金銭を設けたり、オンラインで公開された個人情報を使って「仮想双子」を作り出し、詐欺目的で利用しているという。

 McAfeeによれば、ボットネットに制御されたコンピュータは世界で少なくとも1200万台。フィッシング詐欺や違法スパム送信、ポルノやパスワードを盗むプログラムの配布に利用されている。オープンソース方式で投資利益保障付きのプロジェクトとして、ボットネットの作成・強化に取り組んでいるという。

 今後1年の動向としてMcAfeeは、サイバー犯罪者がスマートフォンや多機能電話から重要な情報を掘り起こそうとすると予想。BluetoothやVoIPの利用増加も新しい世代の電話ハッキングに結びつくと指摘している。

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